生成AI利用ガイドラインのテンプレート|10項目の骨子と記載例
社内向け生成AI利用ガイドラインの雛形です。目的・適用範囲・利用できる経路・入力してよい情報・生成物の扱い・禁止事項・申請と承認・費用・相談と報告の窓口・見直しの10項目について、そのまま使える記載例と、自社に合わせて埋める箇所を示します。禁止事項の列挙ではなく判断基準で書く構成です。
社内向け生成AI 利用ガイドラインの雛形を、10 項目の骨子と記載例で示します。記載例はそのまま使える文体にしていますが、「【 】」の箇所は自社の契約・組織・体制に合わせて埋めてください。禁止事項の列挙ではなく、判断基準で書く構成です。
作り方の手順(棚卸し → 経路の整理 → 入力基準 → 骨子 → レビュー → 周知 → 見直し)は「社内向け生成AI 利用ガイドラインの作り方」を参照してください。全体像は「企業の AI ガバナンス 完全ガイド」にまとめています。
10 項目の骨子
| 項目 | 内容 | 分量の目安 |
|---|---|---|
| 1. 目的 | なぜこのガイドラインがあるか | 3〜5 行 |
| 2. 適用範囲 | 誰に、どのツール・経路に適用するか | 5 行 |
| 3. 利用できる経路 | 会社が用意した経路と使い方 | 表 1 つ |
| 4. 入力してよい情報 | 情報の区分 × 経路の判断基準 | 表 1 つ + 注記 |
| 5. 生成物の扱い | 事実確認、権利、成果物への明示 | 5〜8 行 |
| 6. 禁止事項 | 判断基準で書けないものだけ、最小限に | 5 行以内 |
| 7. 申請・承認 | 新しいツール・用途の手続き | 表 1 つ |
| 8. 費用 | 予算の単位、上限、超過時 | 5 行 |
| 9. 相談・報告の窓口 | 迷ったとき、問題が起きたとき | 3 行 |
| 10. 見直し | 周期と担当 | 3 行 |
全体で A4 3〜5 ページに収めます。
1. 目的
本ガイドラインは、当社の役員および従業員(以下「従業員等」)が業務で生成AI を利用するにあたり、情報の保護と適正な利用を確保しつつ、生成AI による業務の効率化と品質向上を推進することを目的とする。
当社は、生成AI の利用を禁止するのではなく、会社が定めた経路と基準のもとで積極的に活用することを推奨する。従業員等は、本ガイドラインに従い、判断に迷う場合は第 9 条の窓口に相談する。
埋める箇所: 「推奨する」の姿勢は、自社の方針に合わせて調整します。ただし「禁止」を目的にすると、以下の項目が機能しません。
2. 適用範囲
本ガイドラインは、当社のすべての従業員等(【業務委託先・派遣社員を含む/含まない】)に適用する。
対象は、テキスト・画像・音声・コード等を生成する AI サービス(以下「生成AI」)の業務上の利用とし、会社が契約するもの、従業員等が個人で契約するもの、無料で提供されるもののすべてを含む。
本ガイドラインは、【情報セキュリティ規程】および【就業規則】と併せて適用し、抵触する場合は【 】を優先する。
埋める箇所: 業務委託先の扱い、既存規程との優先関係。
3. 利用できる経路
業務での生成AI の利用は、次の経路に限る。
| 経路 | 対象ツール | 利用できる者 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 会社契約のサブスクリプション | 【ChatGPT Team/Claude Team 等】 | 【申請により席を付与された者】 | 入力データは学習に利用されない契約 |
| 会社が提供する社内ツール | 【社内アシスタント名】 | 全従業員等 | 【Azure OpenAI/AWS Bedrock 等】の API 経由 |
| 業務システムへの組み込み | 【システム名】 | 該当業務の担当者 | 第 7 条の承認を経たもの |
| 個人契約・無料アカウント | すべて | — | 業務での利用は不可(第 6 条) |
埋める箇所: 自社が用意している経路。個人アカウントを不可にするには、会社契約の経路が用意されていることが前提です。
4. 入力してよい情報
生成AI に入力する情報は、情報の区分と利用する経路に応じて、次の基準に従う。
| 情報の区分 | 会社契約のサブスク | 社内ツール・業務システム | 個人アカウント |
|---|---|---|---|
| 公開情報(公開済みの資料・一般の情報) | 可 | 可 | (業務利用不可) |
| 社内限定情報(一般の社内文書・議事録) | 可 | 可 | (業務利用不可) |
| 社外秘・営業秘密(未公開の事業計画・技術情報・契約内容) | 【可/不可/条件】 | 【可/不可/条件】 | (業務利用不可) |
| 個人情報・顧客情報 | 原則不可。業務上必要な場合は匿名化のうえ【法務】の確認を経る | 同左 | (業務利用不可) |
| 取引先から秘密保持契約のもとで受領した情報 | 契約で生成AI への入力が許容されている場合に限り可 | 同左 | (業務利用不可) |
上記の区分に迷う場合は、より厳しい区分として扱い、第 9 条の窓口に相談する。
埋める箇所: 【可/不可/条件】の欄は、自社の契約(入力データの学習利用の有無、保存期間、データの所在地)を法務・セキュリティが確認して埋めます。この表がガイドラインの中核です。
5. 生成物の扱い
- 生成AI の出力は誤りを含むことがある。業務に用いる前に、事実関係を確認する。
- 生成物が第三者の著作物・商標等と類似していないかに注意し、対外的に公開する成果物については【法務/広報】の確認を経る。
- 生成AI を用いて作成した成果物であることの明示は、【対外文書については明示する/社内文書は不要】とする。
- 生成物の最終的な責任は、それを業務に用いた従業員等および所属部門が負う。
- コードを生成した場合は、既存のレビュー手順に従い、ライセンスの確認を行う。
埋める箇所: 対外公開時の確認部門、明示のルール。
6. 禁止事項
次の行為を禁止する。
- 第 3 条に定める経路以外での、業務に関する情報の入力
- 第 4 条の基準に反する情報の入力
- 生成物を事実確認なく対外的に提供すること
- 他者の権利を侵害する目的での利用
- 会社が付与した認証情報(API キー、アカウント)の第三者への共有・貸与
埋める箇所: 原則としてこの 5 項目で足ります。禁止事項を増やすより、第 3 条・第 4 条の判断基準を充実させてください。
7. 申請・承認
新たな生成AI ツールの導入、または既存ツールの新たな用途での利用は、次の区分に応じて手続きを行う。
| 区分 | 例 | 手続き |
|---|---|---|
| 低リスク | 公開情報の要約・翻訳、社内文書の下書き | 申請不要。第 3 条の経路で利用 |
| 中リスク | 社外秘を含む文書の処理、顧客対応の下書き | 【所属部門長】の把握のもとで利用。第 8 条の費用管理の対象 |
| 高リスク | 個人情報の処理、契約書の生成、対外的な成果物の生成、業務システムへの組み込み | 【DX 推進】へ申請し、【法務・情報セキュリティ】の審査を経て承認 |
申請は【申請フォーム/メール】により行い、【DX 推進】は【 営業日】以内に回答する。
埋める箇所: 区分の境界、申請先、回答期限。低リスクを申請不要にしないと、申請が滞って個人アカウントに戻ります。
8. 費用
- API 経由の生成AI 利用に係る費用は、【部門/用途】単位で予算を設定し、【DX 推進】が月次で利用状況を各部門長に報告する。
- 予算の消化率が【80%】に達した場合、および日次の費用が【 円】を超えた場合は、【DX 推進】が該当部門長に通知する。
- 予算を超過する見込みがある場合、該当部門長は【経営企画】と協議のうえ、利用の調整または予算の見直しを行う。
- API キー・アカウントは【部門・利用者】に対応付けて管理し、異動・退職時に棚卸しを行う。
埋める箇所: 予算の単位、通知の閾値、超過時の協議先。この条項は、費用の可視化と通知の仕組みが前提です。仕組みは「AI 利用ガバナンスの第一歩がコスト可視化である理由」を参照してください。
9. 相談・報告の窓口
- 本ガイドラインの解釈や、情報の区分・経路の判断に迷う場合は、【DX 推進(連絡先)】に相談する。
- 情報の誤入力、認証情報の漏えい、その他本ガイドラインに反する事象が生じた場合、または生じた疑いがある場合は、速やかに【情報セキュリティ(連絡先)】に報告する。報告者が自ら関与した場合でも、速やかな報告を優先し、報告自体を不利益に扱わない。
埋める箇所: 連絡先。「報告を不利益に扱わない」は、インシデントの早期発見のために重要です。
10. 見直し
本ガイドラインは、【半年】ごと、または生成AI に関する法令・契約・利用実態に重要な変化があった場合に、【DX 推進】が見直し、【責任者】の承認を経て改定する。改定にあたっては、会社契約の経路の利用状況、発生した事象、第 9 条の窓口に寄せられた相談を参照する。
埋める箇所: 周期、担当、承認者。
別紙として分けるもの
本文を A4 3〜5 ページに収めるため、次は別紙にします。
| 別紙 | 内容 |
|---|---|
| 経路ごとの利用手順 | 会社契約サブスクの申請方法、社内ツールの使い方 |
| FAQ | 「議事録を要約してよいか」「取引先の資料を翻訳してよいか」など、具体的な問い |
| 用語の定義 | 情報の区分の定義、経路の定義 |
| 改定履歴 | 版・日付・変更内容 |
テンプレートを使うときの注意
| 注意 | 理由 |
|---|---|
| 【 】を埋めずに配布しない | 自社の契約と体制に合わない部分が残ると、守れないルールになる |
| 第 4 条の表は法務・セキュリティが確認する | 契約の内容(学習利用・保存・所在地)で可否が変わる |
| 第 8 条は可視化の仕組みとセットで | 通知の仕組みが無いと、条項が空文になる |
| 部門長のレビューを入れる | 「今の業務が続けられるか」を確認する |
| 配布と同時に説明会を行う | 配布だけでは読まれない |
まとめ
- 骨子は目的・適用範囲・経路・入力情報・生成物・禁止事項・申請と承認・費用・窓口・見直しの 10 項目。A4 3〜5 ページ
- 中核は第 4 条の「情報の区分 × 経路」の表。契約を確認して埋める
- 禁止事項は 5 項目程度に留め、判断基準を充実させる
- 低リスクは申請不要にし、高リスクだけ審査する
- 費用の条項は可視化と通知の仕組みが前提。見直しは利用実態の数字を材料にする
ManageAI は、会社契約の API・クラウド経由(5 プロバイダ)の利用量と費用を部署・利用者別に可視化し、予算の消化率・日次上限・急増を通知します。第 8 条の費用管理を、そのまま運用できる形にします。モニター企業を募集中です。
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