主要5プロバイダの生成AI API料金比較|同条件での月額試算
OpenAI・Azure OpenAI・Claude・AWS Bedrock・Google Vertex AIの生成AI API料金を、同じ条件(月間の入力・出力トークン数、キャッシュ率、バッチ比率)で試算して比べます。2026年9月15日参照の公式単価で、小型モデルと上位モデルの2階層、3つの用途パターンの月額をUSDと円換算(仮定レート)で示し、単価表だけでは見えない比較の落とし穴と、経営企画・情シスが判断に使うときの読み方をまとめます。
生成AI API の料金を同じ条件で並べると、モデルの階層(小型か上位か)と用途(出力の長さ・キャッシュ・バッチ)の影響が、プロバイダ間の差より大きいことが分かります。この記事では、5 プロバイダを同条件で試算し、比較の読み方をまとめます。
単価は 2026 年 9 月 15 日に各社の公式料金ページを参照した USD 建ての値です。改定されるため、判断の前に公式ページで確認してください。円換算は説明のための仮定レート(1 ドル 150 円)で、実際の為替とは異なります。課金体系の解説は「生成AI API 料金比較 2026」を参照してください。
比較の前提
揃える条件
| 条件 | 設定 |
|---|---|
| 月間の入力トークン | 1,000 万トークン(1 リクエスト 2,000 トークン × 5,000 回) |
| 月間の出力トークン | 200 万トークン(1 リクエスト 400 トークン × 5,000 回) |
| キャッシュ | 用途パターンで変える(0% または入力の 70%) |
| バッチ | 用途パターンで変える(0% または 100%) |
| 地域 | グローバル(地域限定なし) |
| 通貨 | USD。円換算は 1 ドル 150 円の仮定 |
比較に使うモデルと単価(1M トークンあたり USD)
| 階層 | プロバイダ | モデル | 入力 | キャッシュ入力 | 出力 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小型 | OpenAI | gpt-5.4-mini | $0.75 | $0.075 | $4.50 |
| 小型 | Claude | Claude Haiku 4.5 | $1.00 | $0.10(読取) | $5.00 |
| 上位 | OpenAI | gpt-5.4 | $2.50 | $0.25 | $15.00 |
| 上位 | Claude | Claude Sonnet 5 | $2.00 | $0.20(読取) | $10.00 |
Azure OpenAI・AWS Bedrock・Vertex AI は、上記の基盤モデルをそれぞれのクラウド経由で呼ぶ経路です。単価はデプロイ種別・リージョン・エンドポイントで変わるため、本記事では**「基盤モデルの単価に、経路ごとの係数が乗る」**という形で扱います。
| 経路 | 基盤モデルの単価に対する扱い |
|---|---|
| Azure OpenAI | Global Standard は OpenAI の単価と同じ水準が基準。Data Zone・Regional は高い。日本の従量課金は円建て |
| AWS Bedrock(Claude) | 標準単価は Anthropic 直と近い水準。リージョン別に異なり、リージョナルは 10% 割増 |
| Vertex AI(Claude) | リージョナル・マルチリージョンはグローバルより 10% 割増 |
Gemini(Vertex AI)の単価は本記事では扱いません。公式料金ページで確認してください。
試算 1: 対話型の社内アシスタント(キャッシュあり・バッチなし)
前置き(システムプロンプト・参照文書)が毎回同じで、入力の 70% がキャッシュに乗る想定です。
| モデル | 非キャッシュ入力(300 万) | キャッシュ入力(700 万) | 出力(200 万) | 月額(USD) | 円換算(仮定) |
|---|---|---|---|---|---|
| gpt-5.4-mini | $2.25 | $0.53 | $9.00 | $11.78 | 約 1,800 円 |
| Claude Haiku 4.5 | $3.00 | $0.70 | $10.00 | $13.70 | 約 2,100 円 |
| gpt-5.4 | $7.50 | $1.75 | $30.00 | $39.25 | 約 5,900 円 |
| Claude Sonnet 5 | $6.00 | $1.40 | $20.00 | $27.40 | 約 4,100 円 |
小型モデル同士、上位モデル同士の差は数割です。一方、小型と上位の差は 2〜3 倍です。出力(200 万トークン)が費用の 7〜8 割を占めています。
試算 2: 同じ用途でキャッシュが効かない場合
前置きを毎回全額で送る(キャッシュ 0%)と、入力費用が跳ねます。
| モデル | 入力(1,000 万) | 出力(200 万) | 月額(USD) | 試算 1 との差 |
|---|---|---|---|---|
| gpt-5.4-mini | $7.50 | $9.00 | $16.50 | +40% |
| Claude Haiku 4.5 | $10.00 | $10.00 | $20.00 | +46% |
| gpt-5.4 | $25.00 | $30.00 | $55.00 | +40% |
| Claude Sonnet 5 | $20.00 | $20.00 | $40.00 | +46% |
キャッシュの有無で 4〜5 割変わります。プロバイダの選択より、キャッシュに乗る設計かどうかのほうが費用への影響が大きい用途です。
試算 3: 夜間の一括処理(キャッシュなし・バッチ 100%)
要約・分類・抽出など、即時性が不要な処理をすべてバッチに回す想定です。5 社ともバッチは 50% 引きです。
| モデル | 入力(1,000 万 × 0.5) | 出力(200 万 × 0.5) | 月額(USD) | 標準との差 |
|---|---|---|---|---|
| gpt-5.4-mini | $3.75 | $4.50 | $8.25 | −50% |
| Claude Haiku 4.5 | $5.00 | $5.00 | $10.00 | −50% |
| gpt-5.4 | $12.50 | $15.00 | $27.50 | −50% |
| Claude Sonnet 5 | $10.00 | $10.00 | $20.00 | −50% |
バッチに回せる処理を分けるだけで半額です。対話型と一括処理を同じキーで混ぜていると、この切り分けができません。
経路の係数を掛けるとどうなるか
試算 1 の Claude Sonnet 5($27.40)を、経路別に見ます。
| 経路 | 係数 | 月額(USD) | 備考 |
|---|---|---|---|
| Anthropic 直(グローバル) | 1.0 | $27.40 | 基準 |
| Anthropic 直(US 限定推論) | 1.1 | $30.14 | データ所在地の要件がある場合 |
| Bedrock(グローバル) | 約 1.0 | 約 $27 | AWS の料金ページの単価。リージョンにより異なる |
| Bedrock(リージョナル) | 約 1.1 | 約 $30 | リージョナルエンドポイントは 10% 割増 |
| Vertex AI(リージョナル) | 約 1.1 | 約 $30 | 同上 |
経路による差は 1 割程度で、モデル階層やキャッシュ・バッチの差より小さくなります。経路の選択は、費用より既存のクラウド契約・データ所在地・可視化のしやすさで決めるのが現実的です。
規模を変えたときの目安
試算 1 の条件を 10 倍・100 倍にすると、月額は比例します。
| 月間トークン(入力/出力) | gpt-5.4-mini | Claude Sonnet 5 | gpt-5.4 |
|---|---|---|---|
| 1,000 万 / 200 万 | $12 | $27 | $39 |
| 1 億 / 2,000 万 | $118 | $274 | $393 |
| 10 億 / 2 億 | $1,178 | $2,740 | $3,925 |
社員数百名規模で複数部署が使う企業では、月間 1 億〜10 億トークンの範囲に入ることが多く、円換算で数万円〜数十万円の幅になります。この規模になると、部署別の内訳と使いすぎの検知が必要になります。
比較の落とし穴
| 落とし穴 | 何が起きるか |
|---|---|
| 単価表の入力単価だけで比べる | 出力単価が費用の大半。入力が安くても出力が高いモデルは総額で逆転する |
| 旧モデルの実測トークン数を流用する | トークナイザーの世代で消費量が変わる(Claude 4.7 以降は約 30% 増) |
| 思考トークンを忘れる | 推論モデルは応答文より多くの出力トークンを消費する |
| 通貨を揃えない | Azure の円建てと USD 建てを混ぜると、為替で数%〜十数%ずれる |
| 地域係数を忘れる | 日本限定・US 限定の要件で 10% 前後の割増 |
| 割引の条件を見落とす | バッチは「24 時間以内に完了」、PTU や Provisioned は「使わなくても課金」 |
経営企画・情シスが判断に使うときの読み方
- まずモデルの階層を決める: 用途に対して上位モデルが必要か。差は 2〜3 倍
- 次に設計を決める: キャッシュに乗る前置き、バッチに回せる処理。差は 4〜5 割
- 経路は契約と可視化で決める: 費用差は 1 割程度。既存のクラウド契約、データ所在地、内訳の見えやすさで選ぶ
- 試算を予算にする: 月間トークンの想定を 3 パターン(初月・3 か月後・6 か月後)で置き、消化率で通知する
- 実績で更新する: 見積もりは外れる。実績のトークン数で毎月更新し、差を分解して説明する
見積もりの手順は「OpenAI API 料金の計算方法」、予算の立て方は「生成AI予算の立て方|前年実績がない初年度の考え方」を参照してください。
よくある質問
Q. 結局どこが一番安いですか? 同じ階層のモデル同士では数割の差で、用途(キャッシュ・バッチ・出力の長さ)の設計のほうが影響が大きいです。「安いプロバイダ」より「安く使える設計」を先に決めてください。
Q. この試算をそのまま予算に使えますか? 使えません。単価は 2026 年 9 月 15 日参照時点、為替は仮定、トークン数は説明用の値です。貴社の実測トークン数と最新の単価で計算し直してください。
Q. 複数のプロバイダを併用した場合の合計はどう見ますか? 各社の管理画面は別なので、手作業で合算するか、横断で取得するツールを使います。ManageAI は 5 経路の実費と概算を 1 画面で合算し、円/ドルの切替と換算レートの根拠を残します。
まとめ
- 同条件で比べると、小型と上位の階層差は 2〜3 倍、キャッシュの有無で 4〜5 割、バッチで半額。プロバイダ間・経路間の差は数割〜1 割
- 出力トークンが費用の 7〜8 割。入力単価だけで比べない
- 経路は費用より契約・データ所在地・可視化のしやすさで決める
- 試算は予算の基準。実績のトークン数で毎月更新する
ManageAI は、5 プロバイダの利用量と費用を部署・利用者・API キー別に可視化し、各社の単価マスタを当社が保守します。単価改定への追随と経路横断の合算を、お客様が手作業で行う必要はありません。モニター企業を募集中です。
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