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生成AIコスト削減の方法|効果順に並べた12施策

生成AIのAPI費用を削減する12の施策を、一般的に効果が出やすく取り組みやすい順に整理します。使われていないキーの停止、モデルの使い分け、出力の長さの制限、キャッシュ、バッチ処理、入力の削減、呼び出し回数の見直しなど、施策ごとの内容・向いている用途・注意点と、削減の前に可視化が必要な理由を解説します。

生成AIのAPI費用を削減する施策は、大きく「使われていないものを止める」「安いモデル・安い処理方式を使う」「トークンを減らす」「呼び出し回数を減らす」の4種類に分けられます。この記事では12の施策を、一般的に効果が出やすく、取り組みやすい順に並べて紹介します。

ただし、どの施策が効くかは、費用が「どの部署の・どのキーの・どのモデル」に偏っているかで決まります。削減の前に、費用の内訳を見える化することが出発点です。全体像は「生成AIコスト削減 完全ガイド」を参照してください。

12施策の一覧

#施策分類取り組みやすさ
1使われていないキー・処理を止める止める高い
2用途に合ったモデルに切り替える安くする高い
3出力の長さに上限を設ける減らす高い
4検証環境の利用を絞る止める高い
5キャッシュ(入力の再利用)を使う安くする中
6急がない処理をバッチ処理にする安くする中
7入力(指示・資料)を短くする減らす中
8会話の履歴を要約・削る減らす中
9同じ質問への応答を再利用する減らす中
10呼び出しの回数を減らす(まとめて処理する)減らす中
11簡単な処理を安価なモデルに振り分ける安くする低い(設計が必要)
12利用の上限と通知で使いすぎを防ぐ統制中

効果の大きさは、自社の使い方によって大きく変わります。自社の費用の内訳を見て、偏りの大きい部分から当てはめるのが確実です。

1. 使われていないキー・処理を止める

PoC で作ったまま動き続けている処理、検証用のバッチ、持ち主の分からないキーは、何の成果も生まずに費用だけを発生させます。キーごとの利用状況を見て、止めてよいものを止めるのが、最も手軽で確実な削減です。棚卸しの手順は「APIキーの棚卸し手順」を参照してください。

2. 用途に合ったモデルに切り替える

高性能なモデルは単価が高く、要約や分類、定型文の作成など、簡単な作業には過剰なことがあります。用途ごとに、必要十分な性能のモデルを選ぶだけで、品質を大きく落とさずに費用を下げられる場合があります。どの部署が高性能なモデルに偏っているかの見つけ方は「高性能モデルを使いすぎている部署の見つけ方」で説明しています。

3. 出力の長さに上限を設ける

多くのモデルでは、出力トークンの単価が入力より高く設定されています。出力の最大トークン数を設定し、「300字以内で」など長さを指示すると、不要に長い応答を防げます。

4. 検証環境の利用を絞る

開発・検証で本番と同じ高性能なモデルを使い続けていると、費用がかさみます。検証用のキーを分け、安価なモデルや少ない件数で検証する運用にします。

5. キャッシュ(入力の再利用)を使う

毎回同じ指示や資料を先頭に付けて呼び出す場合、プロバイダのキャッシュの仕組みを使うと、繰り返し送る入力部分の単価が下がることがあります。条件(キャッシュの対象・有効期間・料金)はプロバイダごとに違うため、各社の公式情報で確認します。

6. 急がない処理をバッチ処理にする

即時の応答が要らない処理(夜間の文書の要約、大量データの分類など)は、プロバイダのバッチ処理の仕組みを使うと、通常より安い単価で処理できる場合があります。結果が返るまでに時間がかかるため、業務の流れに合うかを確認します。

7. 入力(指示・資料)を短くする

長い指示や、関係の薄い資料を毎回渡していると、入力トークンがかさみます。指示を簡潔にし、必要な部分だけを渡します。

8. 会話の履歴を要約・削る

チャットやエージェントでは、履歴が長くなるほど1回あたりの入力が増えます。一定の長さを超えたら履歴を要約する、古いやり取りを削る、といった工夫で入力を抑えます。

9. 同じ質問への応答を再利用する

社内の問い合わせ対応など、同じ質問が繰り返される用途では、過去の応答を再利用すると呼び出しそのものを減らせます。回答の鮮度と正確さの管理が必要です。

10. 呼び出しの回数を減らす

1件ずつ呼び出していた処理を、まとめて1回で処理できる場合があります。ただし1回の入力が長くなりすぎると精度が落ちることがあるため、まとめる量を調整します。

11. 簡単な処理を安価なモデルに振り分ける

依頼の難しさに応じて、簡単なものは安価なモデル、難しいものは高性能なモデルに振り分ける設計です。効果は大きい一方、振り分けの仕組みと品質の確認が必要になります。

12. 利用の上限と通知で使いすぎを防ぐ

削減の施策を入れても、暴走や消し忘れで費用が跳ねることがあります。予算の消化率と急な増加で通知が届くようにし、プロバイダ側の上限を最後の砦にします。

施策を選ぶ前に——費用の内訳を見る

見ること分かること効きやすい施策
キーごとの費用使われていない・持ち主不明のキー1・4
モデルごとの費用の構成比高性能なモデルへの偏り2・11
入力と出力の比率出力が多い用途、入力が多い用途3・7・8
用途ごとの呼び出しの傾向同じ処理の繰り返し、急がない処理5・6・9・10
時間ごとの推移急な増加、夜間の処理1・12

内訳を見ずに施策を入れると、費用の小さい部分を削って効果が出ない、ということが起こります。

施策の進め方

段階やること
1. 内訳を見るキー・モデル・入出力・時間ごとの費用を並べる
2. 候補を選ぶ偏りの大きい部分に効く施策を2〜3個選ぶ
3. 小さく試す1つの用途・キーで試し、品質と費用を比べる
4. 広げる効果と品質が確認できた施策を、他の用途に広げる
5. 月次で確認する費用の内訳を見て、新しい偏りに対処する

一度に多くの施策を入れると、どれが効いたか分からなくなります。1つずつ試して効果を確かめるのが確実です。

よくある質問

Q. どの施策から始めるべきですか? 使われていないキー・処理の停止と、用途に合ったモデルへの切り替えから始めるのが一般的です。取り組みやすく、品質への影響も小さいことが多いためです。

Q. モデルを安いものに変えると品質が落ちませんか? 用途によります。代表的な依頼で安価なモデルを試し、品質が業務上許容できるかを確かめてから切り替えます。

Q. 削減の目標はどう決めればよいですか? 一律の削減率を目標にするより、「使われていないキーをゼロにする」「簡単な用途は推奨モデルに揃える」など、施策ごとの目標にするほうが進めやすくなります。削減の結果は、月次の費用の推移で確認します。

まとめ

  • 生成AIの費用削減の施策は、止める・安くする・減らす・統制するの4種類、12施策に整理できる
  • 取り組みやすく効果が出やすいのは、使われていないキーの停止と、用途に合ったモデルへの切り替え
  • キャッシュ・バッチ処理・入力と履歴の削減・呼び出しの集約は、用途に応じて組み合わせる
  • 施策を選ぶ前に、キー・モデル・入出力・時間ごとの費用の内訳を見て、偏りの大きい部分から当てはめる

ManageAIは、5プロバイダの利用量と費用を部署・利用者・APIキー別に可視化し、利用者の詳細画面やCSVでモデル別の内訳も確認できます。使われていないキーや高単価モデルの偏りを見つけ、削減の施策をどこから始めるかを決められます。モニター企業を募集中です。

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この記事を書いた人

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師田 賢人

Kento Morota

Harmonic Society株式会社 Founder|設計・開発

一橋大学卒業後、アクセンチュアで大手企業の業務改革・システム導入に従事。200社以上の経営者を取材した編集者を経て、AIを活用したWeb開発・DX支援を展開。ManageAIの設計・開発を担当。

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