ManageAIの3種のアラート|日次上限・月次予算・急増検知
ManageAIのアラートは、日次コスト上限・月次予算消化率・急増検知の3種類。それぞれの判定ロジック、設定できるスコープ(全社・部署・利用者・APIキー)と項目、評価のタイミング、重複抑止とクールダウン、通知先、発報履歴と正検知・過検知の記録までを仕様に沿って説明します。
ManageAI のアラートは、日次コスト上限・月次予算消化率・急増検知の 3 種類です。それぞれ時間軸が違い(日・月・時間)、組み合わせることで「請求書より先に気づく」状態を作ります。
この記事では、3 種の判定ロジック、設定項目、評価のタイミング、重複抑止、通知、発報履歴を仕様に沿って説明します。アラート設計の一般的な考え方は「生成AI予算アラートの設計|閾値・通知先・対応者」を参照してください。
3 種の判定ロジック
| 種別 | 判定 | 判定に使う数字 |
|---|---|---|
| 日次コスト上限 | 当日(JST 0 時起点)のスコープ内の概算コストが閾値金額を超えたら発報(閾値ちょうどは発報しない) | 概算(トークン × 単価) |
| 月次予算消化率 | 当月(JST)の消化率が、設定した節目(50/80/100%)のうち到達した最高の節目で発報(82% なら 80 のみ、100% 超過は 100) | 全社スコープは実費を優先(未取得時のみ概算)。部署などのスコープは概算 |
| 急増検知 | 直近の完了済み 1 時間バケットのトークン数(入力 + 出力)が、過去 7 日間の同時間帯平均の N 倍以上で発報 | トークン数 |
急増検知の「下限トークン数」
急増検知は倍率だけで判定すると、利用の少ないキーや深夜の時間帯で誤報が頻発します。そのため下限トークン数(既定 5 万トークン)を設け、直近 1 時間の量が下限に満たなければ、倍率を超えていても発報しません。ベースラインがゼロの場合(導入初週など)は、下限が設定されているときだけ発報します。
この項目は設定画面のフォーム上に説明を明記しています。過検知が続くと通知全体が無視されるため、抑止側の要件は緩めない設計です。
スコープと設定項目
ルールは全社・部署・ユーザー・API キーの 4 つのスコープで作成できます。
| 常時表示の項目 | 内容 |
|---|---|
| ルール名 | 任意の名前 |
| 種別 | 日次コスト上限/月次予算消化率/急増検知 |
| 対象スコープ・対象 | 全社、または特定の部署・ユーザー・API キー |
| クールダウン(分) | 同一ルールの再発報を抑止する期間 |
| Slack Webhook URL | 未入力ならテナント既定の URL を使用 |
| 通知先 | 管理者全員/対象本人/追加メールアドレス |
種別を選ぶと、追加の入力項目が切り替わります。
| 種別 | 追加項目 |
|---|---|
| 日次コスト上限 | 日次閾値金額、通貨(円/ドル) |
| 月次予算消化率 | 月間予算、通貨、発報する節目(50/80/100% のチェックボックス) |
| 急増検知 | 倍率(過去 7 日同時間帯平均の N 倍)、下限トークン数(0 で無効) |
通貨をドルにした場合、概算は USD の集計値をそのまま比較します(円⇄ドルの交差換算はしません)。
評価のタイミング
アラートは独立したスケジュールではなく、15 分周期の収集バッチの完了をトリガーにテナント単位で評価されます。準リアルタイムで、遅延は最大 30 分程度です。ルール単位で評価失敗を捕捉するため、1 つのルールでエラーが起きても他のルールの評価は継続します。
重複抑止とクールダウン
同じ異常で何度も鳴らないように、2 段階の抑止があります。
- 同一期間の重複抑止: 日次上限は同じ日、月次予算は同じ月・同じ節目、急増検知は同じ 1 時間バケットで 1 回だけ発報。同時実行でも二重発報しない仕組みです
- クールダウン: 同一ルールの直近発報から設定時間(既定 24 時間)未満は抑止。ただし月次予算は同一節目の間に限定しており、80% 発報の直後でも 100% 到達は即発報します(エスカレーションを妨げない)
通知
発報レコードを先に記録してから通知します。通知が失敗しても、発報の事実と失敗理由が履歴に残ります。
| チャネル | 内容 |
|---|---|
| Slack | ルールの Webhook URL、無ければテナント既定の URL に送信。件名・本文・アラート画面へのリンクの定型文 |
| メール | 「管理者全員」「対象本人」「追加アドレス」の和集合(重複排除)に送信。本人はユーザー・API キースコープのときに対象 |
通知文は日本語の定型文で、金額とトークン数を整形して含めます。Slack の設定手順は「ManageAI の Slack 通知設定」を参照してください。
発報履歴と正検知・過検知の記録
アラート画面の「発報履歴」タブで、次の項目を確認できます。
- 発報日時、ルール名、スコープ
- 観測値/閾値
- 通知結果(Slack/メール、失敗時は理由)
- 正検知/過検知の記録ボタン(管理者)
通知結果を履歴に表示するのは、「送信成功 ≠ 受信」だからです。宛先設定の誤りや Webhook の失効は、ここで気づけます。正検知・過検知の記録は、月次レビューで閾値を見直すときの材料になります。
全社サマリーの予算消化率との関係
全社サマリーのカードにある「月間予算消化率」は、全社スコープの月次予算ルールの予算額に対する当月実費の比率です。80% 以上で警告色、100% 以上で危険色になります。ルールを作っていない場合は「予算未設定」と表示され、アラート設定への導線が出ます。
設定例
| ルール | 種別 | スコープ | 設定 | 通知先 |
|---|---|---|---|---|
| 全社 日次コスト上限 | 日次コスト上限 | 全社 | 1 日 5 万円超過で発報 | 管理者 |
| 全社 月次予算 | 月次予算消化率 | 全社 | 月間予算 100 万円、50/80/100% で発報 | 管理者・経営企画の追加アドレス |
| 全社 急増検知 | 急増検知 | 全社 | 過去 7 日同時間帯平均の 5 倍超、下限 5 万トークン | 管理者 |
| 検証キー 日次上限 | 日次コスト上限 | API キー | 1 日 2 万円超過で発報 | 管理者・本人 |
数値は説明のための例です。閾値は導入時に直近の実績を見ながら一緒に設定し、月次レビューで調整します。
3 種を組み合わせる理由
1 種類だけでは、時間軸の違う異常を取りこぼします。
| 異常の例 | 日次上限 | 月次予算 | 急増検知 |
|---|---|---|---|
| 深夜に検証スクリプトが暴走し、1 時間で大量消費 | 翌朝まで気づかない可能性 | 月末まで気づかない | 最短 30 分程度で発報 |
| じわじわ増えて月の半ばで予算の 80% に到達 | 日次では閾値内 | 80% の節目で発報 | 急増ではないため発報しない |
| キーが漏えいし、1 日で通常の数倍を消費 | 当日中に発報 | 消化率も跳ねる | 発報 |
急増検知が「早さ」、日次上限が「1 日の上限」、月次予算が「月の統制」を担います。3 種すべてを全社スコープで作るところから始め、部署・キーのスコープは必要になってから足すのが基本です。
導入初週の推奨設定
導入直後は実績が無いため、閾値を決めきれません。次の順で進めます。
- 月次予算のルールだけ先に作る: 年間予算を 12 で割った額、または当面の上限額を予算に設定し、節目は 50/80/100% すべてを有効にする
- 1〜2 週間、実績を見る: 全社サマリーの日次コスト推移から、平常時の 1 日あたりの概算を把握する
- 日次上限と急増検知を足す: 日次上限は平常時の日次概算の数倍を目安に、急増検知は倍率の既定値と下限トークン数から始める
- 月次レビューで調整する: 発報履歴の正検知・過検知を見て、閾値と通知先を見直す
閾値の考え方は「生成AI予算アラートの設計|閾値・通知先・対応者」で詳しく扱っています。
発報から対応までの流れ
| 順 | 誰が | 何をするか |
|---|---|---|
| 1 | 通知を受けた担当(情シス・DX 推進) | 通知のリンクからアラート画面を開き、観測値と閾値を確認 |
| 2 | 同上 | スコープの詳細画面(部署/ユーザー/キー)で、何が増えたかを絞る |
| 3 | 同上 | 該当部署・利用者に状況を確認。想定内なら「過検知」を記録 |
| 4 | 該当部署 | 暴走・漏えいならキーの失効やスクリプトの停止(プロバイダ側で実施) |
| 5 | 管理者 | 必要なら閾値を調整。月次レビューで振り返る |
ManageAI は遮断しないため、4 の対処はプロバイダ側で行います。通知を受けてから対処するまでの担当と手順を、導入時に決めておくことを勧めています。
ルールの管理
- ルールは作成後も編集でき、有効/無効を切り替えられます。一時的に止めたいときは無効化し、削除は不要です
- ルールの作成・編集・削除は監査ログに記録されます
- 対象(部署・ユーザー・キー)を削除・無効化した場合、そのルールは対象なしとして評価されなくなります
できないこと
- 利用の遮断: 通信経路に介在しないため、発報しても利用は止まりません。統制はアラートと運用で行います
- Slack・メール以外の通知先: 現時点で対応しているのは Slack(Incoming Webhook)とメールです
よくある質問
Q. 通知が鳴りやまないのが心配です。 同一期間の重複抑止とクールダウンがあり、急増検知には下限トークン数があります。発報ごとに正検知・過検知を記録でき、閾値を調整していけます。
Q. 部署ごとに予算アラートを設定できますか? できます。月次予算消化率のルールを部署スコープで作成します。部署スコープの消化率は概算で判定します。
Q. 発報からどのくらいで通知が届きますか? 収集バッチの完了をトリガーに評価するため、遅延は最大 30 分程度です。
まとめ
- 3 種は日次コスト上限(日)・月次予算消化率(月)・急増検知(時間)。スコープは全社・部署・ユーザー・API キー
- 急増検知には下限トークン数があり、過検知を抑える
- 評価は 15 分周期の収集完了をトリガーに準リアルタイム。同一期間の重複抑止とクールダウンつき
- 通知は Slack とメール。発報レコードを先に残し、通知結果と正検知・過検知を履歴で確認できる
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