Vertex AIの利用料金を確認する方法|Cloud Billingレポート
Vertex AIの利用料金は、Cloud Billingのレポートでプロジェクト・サービス・SKU・ロケーション・ラベル別に確認できます。レポートの絞り込み方、SKUでモデル・入出力の内訳を見る方法、BigQueryへの請求エクスポート(標準・詳細・料金データ)、Cloud Monitoringでモデル別のトークン数を見る方法、予算とアラート、部署別に見るためのプロジェクト分割とラベル設計をまとめます。
Vertex AI の利用料金は、Cloud Billing のレポートで、プロジェクト・サービス・SKU・ロケーション・ラベル別に確認できます。明細を自分で集計したい場合は BigQuery への請求エクスポート、利用量(トークン数)は Cloud Monitoring のメトリクスで見ます。
この記事では、レポートの絞り込み方、BigQuery エクスポートの種類、Monitoring との使い分け、部署別に見るための設計を説明します。料金体系は「Google Vertex AI の料金体系」を参照してください。
確認できる場所と粒度
| 場所 | 見えるもの | 粒度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| Cloud Billing レポート | 実費(請求通貨)、クレジット | プロジェクト・サービス・SKU・ロケーション・ラベル × 日/月 | 請求との突合、部署別の配賦 |
| BigQuery 請求エクスポート | 実費の明細 | 行単位(標準・詳細・料金データ) | 外部ツールでの分析、自動集計 |
| Cloud Monitoring | トークン数、リクエスト数、レイテンシ | モデル・ロケーション × 分〜時間 | 利用状況の把握、急増の検知 |
| 予算とアラート | 予算に対する消化率と通知 | 請求先アカウント・プロジェクト単位 | 上限の管理 |
Cloud Billing レポートの見方
Cloud Console の「お支払い」から請求先アカウントを選び、「レポート」を開きます。閲覧には請求先アカウントの閲覧者権限が必要です。
期間の種類
| 種類 | 内容 | 用途 |
|---|---|---|
| 課金期間(使用日) | 使用が発生した日で集計。将来の予測も表示 | 日々の推移、予算の消化 |
| 請求期間(請求月) | 請求書に載る月で集計。税や調整を含む | 経理提出、請求書との突合 |
グループ化と絞り込み
| グループ化 | 分かること |
|---|---|
| サービス | Vertex AI の費用が他のサービスと分かれて出る |
| プロジェクト | プロジェクトごとの費用。部署ごとにプロジェクトを分けていれば部署別の内訳 |
| SKU | モデル・入力/出力・エンドポイント種別ごとの課金項目。「どのモデルの出力トークンにいくら払ったか」 |
| ロケーション | リージョン別の費用 |
| ラベル | プロジェクトやリソースに付けたラベル(部署・用途など)ごとの費用 |
「日付 > サービス」「月 > プロジェクト」のように、時間と組み合わせた表示もできます。フィルタは同じ軸で絞り込めます。
Vertex AI の費用だけを見る手順
- 期間を「課金期間」にして、対象の月を選ぶ
- フィルタの「サービス」で Vertex AI を選ぶ
- グループ化を「プロジェクト」にすると、プロジェクトごとの費用が出る
- グループ化を「SKU」に変えると、モデルと入出力の課金項目に分かれる
SKU は課金項目の最小単位です。Claude などのサードパーティモデルも、Vertex AI の SKU として同じレポートに出ます。
クレジットと割引
「割引」のフィルタで、確約利用割引や継続利用割引、プロモーションクレジット、契約価格が費用にどう反映されているかを確認できます。請求書と突合するときは、クレジット適用後の額で比べてください。
BigQuery への請求エクスポート
レポートの画面で足りない分析(部署別の配賦、外部ツールへの取り込み、日次の自動集計)は、請求データを BigQuery にエクスポートして行います。
| エクスポートの種類 | 内容 | 用途 |
|---|---|---|
| 標準の使用料金 | 請求先アカウント・請求日・サービス・SKU・プロジェクト・ラベル・ロケーション・費用・使用量・クレジット | 費用の傾向分析、部署別の配賦 |
| 詳細な使用料金 | 標準に加えて、リソース単位の情報 | どのリソースが費用を生んでいるかの特定 |
| 料金データ | サービス・SKU ごとの単価と階層 | 概算の計算、単価改定の追跡 |
| 設定の要点 | 内容 |
|---|---|
| 有効化 | 請求先アカウントごとに、エクスポートの種類ごとに有効化する。有効化以降のデータしか出ないため、請求先アカウントの作成と同時に有効化するのが公式の推奨 |
| データセットの場所 | マルチリージョン(US/EU)なら前月分から遡って入り、初回は最大 5 日かかる。リージョナルは有効化後の分のみ |
| クエリ費用 | BigQuery でクエリを実行すると、その分の費用がかかる |
Vertex AI の実費を自動で取り込むツール(ManageAI を含む)は、この請求エクスポートを前提にしています。未設定でも利用量と概算は取れますが、実費は出ません。
Cloud Monitoring で利用量を見る
費用ではなくトークン数を見たい場合は、Cloud Monitoring の Vertex AI のメトリクスを使います。
| メトリクス | 内容 |
|---|---|
| トークン数 | 入力・出力のトークン数(出力は思考トークンを含む) |
| リクエスト数 | 呼び出し回数 |
| レイテンシ | 応答時間 |
ディメンションはモデルとロケーションです。利用者個人や API キー単位の内訳はありません。呼び出し元を分けたい場合は、サービスアカウントを用途ごとに分けて監査ログで追うか、プロジェクトを分けます。
予算とアラート
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 予算 | 請求先アカウントまたはプロジェクト単位で予算額を設定し、実績または予測が閾値(50/90/100% など)に達したら通知 |
| 通知先 | メール、Pub/Sub 経由で Slack など |
| 利用の停止 | 予算は通知のみ。上限で止めたい場合は、Pub/Sub の通知を受けて課金を無効化する仕組みを自分で作る |
費用のデータは反映に時間がかかるため、当日の急増を捉えるには Cloud Monitoring のアラートポリシー(トークン数の閾値)を併用します。
部署別に見るための設計
Vertex AI には利用者別の API キーがないため、部署別に見るには Google Cloud 側の仕組みで分けます。
| 方法 | 内容 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| プロジェクト分割 | 部署ごとにプロジェクトを作り、レポートでプロジェクト別に集計 | 最も確実。実費がそのまま部署別になる |
| ラベル | プロジェクトやリソースに部署・用途のラベルを付け、レポートと BigQuery でラベル別に集計 | プロジェクトを分けられない場合の補助 |
| サービスアカウント分割 | 用途ごとにサービスアカウントを分け、監査ログで呼び出し元を追う | 同じプロジェクト内で用途を分けたい |
ラベルは付けた時点以降の費用にしか効かないため、導入時に設計しておきます。設計の考え方は「組織マッピングとは|API キーと部署を紐づける設計の基本」を参照してください。
部署別に見るときの限界
| 見たいもの | Google Cloud の画面で | 限界 |
|---|---|---|
| 全社の実費 | レポート、BigQuery | 問題なし |
| モデル・入出力別の実費 | SKU | 問題なし |
| 部署別の実費 | プロジェクト・ラベル | 設計が前提。遡れない |
| モデル別の利用量 | Cloud Monitoring | 費用ではなく利用量 |
| 利用者別 | — | なし |
| 自動取得 | BigQuery エクスポート | 有効化が前提 |
| OpenAI・Claude 直との合算 | — | 別の管理画面 |
社内で確認を運用する手順
| 頻度 | 誰が | 何を見るか |
|---|---|---|
| 日次(自動) | 通知 | 予算の消化率。Monitoring のアラート(トークンの急増) |
| 週次 | 情シス・DX 推進 | Monitoring でモデル別のトークン推移。レポートの SKU で上位モデルの割合 |
| 月次 | 情シス + 経理 | レポート(請求期間)でプロジェクト・ラベル別の実費を確定。請求書と突合 |
| 随時 | 管理者 | 新しいプロジェクト・用途にはラベルと所属を付ける。請求エクスポートの有効化を確認 |
よくある質問
Q. BigQuery エクスポートは必要ですか? レポートの画面で見るだけなら不要です。部署別の自動集計や外部ツールへの取り込みには必要で、有効化以降のデータしか出ないため早めに設定してください。
Q. Claude(Model Garden)の費用はどこに出ますか? Vertex AI の SKU として同じレポートに出ます。
Q. 誰が使ったかを知りたい。 レポートと Monitoring には利用者の情報がありません。部署単位ならプロジェクト分割かラベル、用途単位ならサービスアカウントの分割と監査ログで追います。
Q. AI Studio(Gemini API)の費用は同じレポートに出ますか? 出ません。AI Studio の Gemini API は Google Cloud のプロジェクトに紐づけない限り、別の課金です。企業利用では Vertex AI に寄せることを勧めています。
まとめ
- 実費は Cloud Billing レポートでプロジェクト・サービス・SKU・ロケーション・ラベル別に。請求書との突合は「請求期間」で
- 自動集計や部署別の配賦は BigQuery エクスポート。有効化以降のデータしか出ないため早めに設定
- 利用量は Cloud Monitoring でモデル・ロケーション別。利用者個人の内訳はない
- 部署別はプロジェクト分割・ラベル・サービスアカウント分割で、導入時に設計する
ManageAI は、Vertex AI の Cloud Monitoring と BigQuery の請求エクスポートを読み取り専用で取得し、ロケーション/モデルの疑似キーを部署に対応付けて、他の 4 経路と合算表示します。請求エクスポートが未設定でも利用量と概算から始められます。モニター企業を募集中です。
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