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Google Vertex AIの料金体系|Gemini APIとの違い

Google Vertex AIの生成AI料金は、Geminiなどのモデルごとの入力・出力トークン単価(100万トークンあたり)に、コンテキストキャッシュ、バッチ予測の50%引き、Provisioned Throughput、グローバル/リージョナルエンドポイントの単価差が組み合わさります。個人開発者向けのGemini API(AI Studio)との契約・請求・管理の違い、Claudeなどサードパーティモデル、請求通貨と実費の粒度を2026年9月15日参照の公式情報に基づいて説明します。

Google Vertex AI の生成AI 料金は、モデルごとの入力・出力トークン単価(100 万トークンあたり)に、コンテキストキャッシュ、バッチの 50% 引き、Provisioned Throughput、エンドポイントの種類(グローバル/リージョナル)による単価差が組み合わさる従量課金です。企業利用では、個人開発者向けの Gemini API(Google AI Studio)と契約・請求・管理が別になる点を最初に押さえる必要があります。

この記事では、Vertex AI の課金構造、Gemini API との違い、経路による違いを、2026 年 9 月 15 日に参照した公式情報に基づいて説明します。モデル別の単価は改定が多いため、本文では構造の説明に絞り、金額は公式料金ページで確認してください。5 社の横断比較は「生成AI API 料金比較 2026」を参照してください。

課金の構造

要素内容
単位100 万トークンあたり USD(契約通貨で請求)
トークンの種類入力・出力。モデルによりキャッシュされた入力(コンテキストキャッシュ)の割引単価
長いコンテキストモデルによっては、一定のトークン数を超える入力に高い単価が適用される段階制
バッチ予測非同期の一括処理で、標準の 50% 引き
Provisioned Throughput一定のスループットを固定料金で確保する方式
エンドポイントグローバル(動的振り分け)/マルチリージョン/リージョナル。リージョナル・マルチリージョンはグローバルより高い
サードパーティモデルClaude などは Model Garden 経由で、提供元ごとの単価

出力単価と思考トークン

他社と同じく出力単価は入力より高く設定されています。推論(思考)を行うモデルでは、思考に使ったトークンも出力として課金されます。応答に表示される文章より多くの出力トークンが消費されるため、見積もりは実測の出力トークンで行ってください。

コンテキストキャッシュ

同じ長い前置き(参照文書・システム指示)を繰り返し送る場合、コンテキストキャッシュを使うと、キャッシュされた部分の入力は割引単価になります。キャッシュの保持には別途ストレージ相当の課金がかかるモデルもあるため、「繰り返し回数が多いほど得」という他社と同じ構造です。

バッチ予測

即時性が不要な処理を一括で投げるバッチ予測は、標準の 50% 引きです。OpenAI・Claude・Azure・Bedrock と同じく、夜間に回せる処理は半額になります。

Provisioned Throughput

一定のスループット(単位時間あたりの処理量)を固定料金で確保する方式です。トラフィックが安定した本番で、レイテンシとスループットを保証したい場合に使います。従量課金と比べて利用率が低いと割高になる点は、Azure の PTU や Bedrock の Provisioned Throughput と同じです。

エンドポイントの種類と単価

エンドポイント処理される場所単価
グローバル複数リージョン間で動的に振り分け基準
マルチリージョン特定の地理的範囲(例: 米国、EU)内で振り分け割増
リージョナル指定した単一リージョン割増

Claude 4.5 以降のモデルでは、リージョナル・マルチリージョンのエンドポイントはグローバルより 10% 割増と案内されています。データ所在地の要件で日本リージョンに固定する場合は、その分の割増を見積もりに含めてください。

Gemini API(Google AI Studio)との違い

同じ Gemini のモデルを呼ぶ経路として、Google AI Studio の Gemini API があります。企業利用で混同しやすい点を整理します。

Gemini API(AI Studio)Vertex AI
想定利用者個人開発者、試作企業、本番
契約・請求Google アカウントの API キー。無料枠ありGoogle Cloud のプロジェクト・請求先アカウント
認証API キーIAM(サービスアカウント・ロール)
管理AI Studio の画面Cloud Console、Cloud Billing、Cloud Monitoring
データの扱い無料枠では利用データがサービス改善に使われる場合があるGoogle Cloud の企業向けの規約
リージョン指定限定的グローバル/マルチリージョン/リージョナルを選べる
サードパーティモデルなしModel Garden で Claude など

単価表の数字は近い水準に揃えられていることが多いものの、契約と管理の仕組みが別です。社内で「Gemini を使っている」と言ったとき、どちらの経路かで請求先も可視化の方法も変わります。個人が AI Studio の無料枠で始めた利用が、いつの間にか業務に組み込まれているケースは、シャドー AI の典型です。

請求と実費の粒度

項目内容
課金単位Google Cloud プロジェクト(請求先アカウントに紐づく)
通貨請求先アカウントの通貨
実費の確認Cloud Billing レポート(プロジェクト・サービス・SKU・ラベル別)、BigQuery への請求エクスポート
利用量の確認Cloud Monitoring(モデル × 時間のトークン数)
個人別の内訳なし。プロジェクトを部署ごとに分ける

利用者個人の内訳は Vertex AI にはありません。Cloud Monitoring はモデル単位、Cloud Billing はプロジェクト・SKU・ラベル単位までです。部署別に見たい場合は、GCP プロジェクトを部署ごとに分けるのが実務上の方法です。確認方法は「Vertex AI の利用料金を確認する方法」を参照してください。

経路による違い——Claude を例に

Claude を Vertex AI の Model Garden 経由で使う場合、Anthropic 直や Bedrock とは単価の付け方が変わります。

Anthropic 直AWS BedrockVertex AI
請求元AnthropicAWSGoogle Cloud
地域係数US 限定で 1.1 倍リージョン別の単価、リージョナルは 10% 割増リージョナル・マルチリージョンは 10% 割増
実費の粒度ワークスペース × 日リージョン × 日プロジェクト × 日

「同じモデルなら同じ料金」ではなく、「どの経路で呼ぶか」で費用と可視化の方法が変わります。

費用を左右する要因

  1. モデルの選択: Flash 系と Pro 系で単価に大きな幅
  2. 思考トークン: 推論モデルは出力トークンが応答文より多い
  3. エンドポイント: リージョナル固定は割増
  4. コンテキストキャッシュ: 繰り返しの前置きが多い用途で効く
  5. バッチへの切り出し: 即時性が不要なら 50% 引き
  6. 段階制の単価: 長い入力で高い単価が適用されるモデルは、入力を分割する設計も検討

よくある質問

Q. Gemini API と Vertex AI で単価は同じですか? 近い水準に揃えられていることが多いですが、公式ページはそれぞれ別で、無料枠やリージョン指定の有無が違います。企業利用では Vertex AI の料金ページで確認してください。

Q. 思考トークンは課金されますか? されます。出力トークンとして課金され、応答に表示されない分も含まれます。

Q. 日本リージョンに固定すると高くなりますか? リージョナルエンドポイントはグローバルより高く設定されています。データ所在地の要件と費用のどちらを優先するかを先に決めてください。

Q. 利用者ごとの費用は出せますか? 出せません。Cloud Monitoring はモデル単位、Cloud Billing はプロジェクト単位までです。部署別に見たい場合は、プロジェクトを部署で分けます。

まとめ

  • 課金は入力・出力トークン × 単価に、コンテキストキャッシュ、バッチ(50% 引き)、Provisioned Throughput、エンドポイント種別(リージョナルは割増)が組み合わさる
  • 思考トークンは出力として課金される
  • Gemini API(AI Studio)とは契約・請求・管理が別。企業利用は Vertex AI 側で見る
  • 実費はプロジェクト × 日、利用量はモデル × 時間。利用者個人の内訳はない

ManageAI は、Vertex AI の Cloud Monitoring と請求エクスポートを読み取り専用で取得し、ロケーション/モデルの疑似キーを部署に対応付けて、OpenAI・Azure・Claude・Bedrock と合算表示します。モニター企業を募集中です。

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この記事を書いた人

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師田 賢人

Kento Morota

Harmonic Society株式会社 Founder|設計・開発

一橋大学卒業後、アクセンチュアで大手企業の業務改革・システム導入に従事。200社以上の経営者を取材した編集者を経て、AIを活用したWeb開発・DX支援を展開。ManageAIの設計・開発を担当。

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