ManageAIの円/ドル切替と換算レート
ManageAIの費用表示を円とドルで切り替える仕組み。USD/JPYレートを日次で取得して固定値として記録し、各レコードの日付時点のレートで換算する方法、円建て契約(Azure OpenAI)の扱い、アラートの通貨、経理提出での根拠の示し方、為替変動と利用量変動を分けて説明する方法をまとめます。
ManageAI の費用は、画面上部の切替で円とドルのどちらでも表示できます。多くのプロバイダはドル建てで請求するため、経理提出には円換算が要りますが、換算レートの根拠が無いと月ごとの比較ができません。ManageAI は、換算に使ったレートを日ごとに固定値として記録し、根拠として残します。
この記事では、換算の仕組み、円建て契約の扱い、アラートの通貨、経理での使い方を説明します。サービス全体は「ManageAI(マネージエーアイ)とは」を参照してください。
切替の操作
期間フィルタの横にある通貨の切替(円/ドル)で、全画面の金額表示が切り替わります。状態は URL に保存されるため、円表示のリンクを経理に、ドル表示のリンクを開発チームに共有する、といった使い方ができます。
CSV エクスポートでは、費用(円)と費用(USD)の両方の列が出力されます。
換算レートの仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| レートの取得 | USD/JPY を日次で取得し、固定値として記録する(換算根拠の保持)。取得元は欧州中央銀行(ECB)の公表レート |
| 換算の適用 | 各レコードのバケット日(JST)時点のレートで換算し、使用したレートをレコードに保存する |
| 取得できなかった日 | 記録済みのレートがあれば、指定日以前で最新のレートを使う。1 件も無い場合のみ既定値で記録し、その旨を記録する |
| 異常値の除外 | 外部から異常なレートが返った場合は採用せず、前日のレートへフォールバックする |
「その日の費用を、その日のレートで換算し、レートを残す」のが原則です。月末にまとめて 1 つのレートで換算する方式ではないため、月の途中で為替が動いても、日ごとの金額の根拠が追えます。
なぜ「日次の固定レート」なのか
換算の方式には、大きく 3 つがあります。
| 方式 | 利点 | 難点 |
|---|---|---|
| 表示時にその時点のレートで換算 | 実装が簡単 | 同じ日の費用が見るたびに変わり、経理の根拠にならない |
| 月末に 1 つのレートでまとめて換算 | 経理の慣行に近い | 月の途中で予算消化率が出せない。月中の為替変動を吸収できない |
| 日次でレートを取得し、固定値として記録(ManageAI) | 日ごとの根拠が残り、月中でも消化率が出せる | レートの取得と保管の仕組みが要る |
ManageAI は、月中の予算統制(消化率アラート)と経理の根拠の両方を満たすため、3 つ目の方式を採っています。社内レートで再計算したい場合も、USD の列があるので対応できます。
円建て契約の扱い
Azure OpenAI の日本の従量課金契約は、請求通貨が円です。この場合、実費は請求通貨の円をそのまま円表示に使い、ドル表示のときは為替レートで換算します。ドル建て契約の逆の扱いです。
| 契約 | 円表示 | ドル表示 |
|---|---|---|
| ドル建て(OpenAI・Claude・Bedrock・Vertex AI) | レートで円換算 | 請求通貨のまま |
| 円建て(Azure OpenAI の日本の従量課金) | 請求通貨のまま | レートでドル換算 |
アラートの通貨
日次コスト上限と月次予算消化率のルールには、通貨(円/ドル)の設定があります。
- 円で設定した場合、概算・実費は円換算した値と比較します
- ドルで設定した場合、概算は USD の集計値をそのまま比較します(円⇄ドルの交差換算はしません)
予算を円で持っているなら、ルールも円で設定するのが自然です。
予算消化率と通貨
全社サマリーの「月間予算消化率」は、全社スコープの月次予算ルールの通貨で計算します。
- 予算を円で設定していれば、当月の実費を日次の固定レートで円換算して比率を出す
- 予算をドルで設定していれば、USD 建ての実費で比率を出す
円建ての予算では、利用量が変わらなくても円安が進めば消化率が上がります。これは為替リスクが予算に現れている状態で、隠すべきものではありません。月次レビューで「利用量の増減」と「為替の影響」を分けて報告してください。
経理提出での使い方
経理に提出するとき、次の 3 点を添えると説明が通ります。
- 全社の実費(全社サマリーの「期間コスト(実費)」)。請求書と突合できる数字
- 換算レート(画面の表示値)。日ごとのレートで換算しているため、月平均ではなく日次の根拠がある
- 円建て契約の区別。Azure OpenAI の円建て分は換算していない旨
CSV に円と USD の両方が出るので、経理は円の列を、プロバイダとの突合はドルの列を使えます。
為替変動と利用量変動を分けて説明する
月次の予実で費用が増えたとき、為替の影響と利用量の影響が混ざると説明できなくなります。分ける方法は次のとおりです。
| 見方 | 何が分かるか |
|---|---|
| ドル表示で前月比を見る | 為替の影響を除いた、利用量と単価の変化 |
| 円表示とドル表示の差の変化 | 為替の影響 |
| トークン消費の前月比 | 単価やモデル構成の影響を除いた、純粋な利用量の変化 |
予算を円で持っている場合は、予算策定時に想定した為替レートを記録しておき、実際のレートとの差を予実差の説明に使います。
為替以外の「単価の差」との区別
費用の差には、為替以外の要因もあります。混同しやすいので分けて考えます。
| 要因 | 内容 | ManageAI での扱い |
|---|---|---|
| 為替 | 同じ USD の費用でも円換算額が変わる | 日次の固定レートで換算し、レートを記録 |
| リージョン別の単価差 | AWS Bedrock の日本ルーティングなど、同じモデルでも単価が異なる | 概算と実費の差として現れる(実測で 1〜1.8% の範囲) |
| 契約形態 | Azure の円建て契約、コミットメント割引など | 実費に反映される。概算は標準単価で計算 |
| 単価改定 | プロバイダの価格変更 | 単価マスタに適用開始日付きで登録し、利用日時点の単価で概算 |
「先月より円建ての費用が増えた」ときは、ドル表示で前月比を見て、為替の影響を先に切り分けてください。
予算策定時の想定レート
予算を円で持つ場合、次の 3 点を予算策定時に記録しておくと、期中の説明が楽になります。
- 想定した USD/JPY レート
- 想定した月あたりの利用量(トークン数または USD 建ての費用)
- 想定レートから何円動いたら予算を見直すか(見直しの発動条件)
期中の予実差は「利用量の差 × 想定レート」と「実際の USD 費用 × レートの差」に分解して報告すると、経営層への説明が通ります。予算の立て方は「生成AI予算の立て方|前年実績がない初年度の考え方」を参照してください。
よくある質問
Q. レートは手動で指定できますか? 日次の自動取得と固定記録が基本です。会社の社内レートで再計算したい場合は、CSV の USD の列に社内レートを掛けてください。
Q. 月の途中でレートが動いた場合、過去の日の金額は変わりますか? 変わりません。各日の金額は、その日時点のレートで換算して記録しています。
Q. 円建てのプロバイダとドル建てのプロバイダを合算できますか? できます。画面の通貨を選ぶと、円建て分はそのまま、ドル建て分はレートで換算して合算します。
まとめ
- 円/ドルは画面上部で切り替え、CSV には両方の列が出る
- USD/JPY は日次で取得して固定値として記録し、各日の金額をその日のレートで換算する。取得失敗時は直近のレートにフォールバック
- Azure OpenAI の円建て契約は請求通貨のまま円表示
- アラートの通貨は円かドルを選び、交差換算はしない
- 経理には実費・レート・円建ての区別を添える。為替と利用量の影響はドル表示とトークン数で分けて説明する
関連記事
この記事を書いた人
モニター企業募集
初期費用0円・月額5万円(税別)
先着5社・2026年11月末まで
5プロバイダの利用量と費用を部署・利用者・APIキー別に可視化。読み取り専用キーの登録だけで当日から始められます。
募集要項を見る資料請求・お問い合わせ