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生成AI関連SaaSのセキュリティ審査|情シスが見るポイント

生成AI関連のSaaS(可視化・ゲートウェイ・分析・チャットツールなど)を導入するときのセキュリティ審査の進め方を、情シス向けに解説します。ツールの種類ごとのリスクの違い、審査の6つの手順、見るべきポイント、未対応事項の判断、審査を早く終えるための工夫、審査後の継続確認までをまとめました。

生成AI関連の SaaS のセキュリティ審査は、まずツールの種類(通信経路に入るか、プロンプトを扱うか)でリスクの大きさを見積もり、それに見合った深さで確認するのが効率的です。すべてのツールを同じ深さで審査すると、リスクの小さいツールの導入まで何か月もかかり、その間に現場がシャドーAIに流れます。

この記事では、ツールの種類ごとのリスクの違い、審査の手順、見るべきポイント、未対応事項の判断の仕方を説明します。確認項目の一覧は「生成AIツールのセキュリティチェックシート|確認項目と回答例」、全体像は「生成AI導入のセキュリティ 完全ガイド」を参照してください。

ツールの種類とリスクの大きさ

ツールの種類例プロンプトを扱うか通信経路に入るかリスクの大きさ
チャット・業務アプリ生成AIを組み込んだ文書作成・要約のサービス扱う入る(サービスそのもの)大
ゲートウェイ・プロキシ複数のモデルへの振り分け、キャッシュ、ログ扱う入る大
監視・分析(原文あり)プロンプトの内容を分析するツール扱う入る場合と入らない場合大〜中
可視化(メタデータのみ)管理APIから利用量・費用を読むツール扱わない入らない小

プロンプトを扱い、通信経路に入るツールほど、審査は深くなります。逆に、管理APIから利用量のメタデータだけを読むツールは、扱うデータが限られ、停止しても生成AIの利用に影響しないため、確認の範囲を絞れます。

審査の6つの手順

手順やること担当
1. 用途と範囲の確認何のために、どの部署が、どのデータで使うか導入を希望する部署
2. 種類の判定プロンプトを扱うか、通信経路に入るか、認証情報を預けるか情シス
3. 公開資料の確認セキュリティの説明資料、規約、プライバシーポリシー情シス
4. チェックシートの送付公開資料で分からない項目を質問する情シス
5. リスクの評価未対応事項が許容できるか、代替の対策があるか情シス・法務
6. 承認と条件の記録利用の条件(対象部署・データの範囲)を決めて記録する情シス・承認者

手順2でリスクの大きさを見積もり、手順3〜5の深さを変えるのがポイントです。

見るべきポイント

1. データの流れ

最初に、データがどこからどこへ流れるかを図で確認します。

  • 自社から提供元へ、何のデータが送られるか
  • 提供元はそのデータを、どこに、どのくらい保存するか
  • 提供元から第三者(さらに別のクラウドサービスなど)へ渡るか

データの流れの図を提供元が用意していない場合は、説明を求めます。図で説明できない提供元は、自社のデータの扱いを把握していない可能性があります。

2. プロンプトの原文の扱い

確認すること理由
原文を取得するか取得すれば、社員が入れた機密情報が提供元に渡る
取得しないのは構造上か、設定か設定なら、変更や不具合で取得が始まる可能性がある
保存する場合の期間・場所・アクセス権漏えいの経路とアクセスできる人の範囲が決まる

3. 預ける認証情報

可視化やゲートウェイのツールは、生成AIのプロバイダの認証情報を預かることがあります。

確認すること望ましい状態
権限の範囲読み取り専用。モデルを呼び出せる権限は不要なはず
保管の方法暗号化し、鍵を別の場所で管理
失効の方法自社側でいつでも失効できる

4. 停止時の影響

通信経路に入るツールが停止すると、生成AIの利用自体が止まる可能性があります。停止時にどの業務が止まるかを洗い出し、迂回の手順があるかを確認します。考え方は「生成AI導入のセキュリティ 完全ガイド」で整理しています。

5. データの所在地と委託先

データが保存される国・リージョン、提供元が利用しているクラウドサービス(委託先)を確認します。顧客との契約や社内規程で、国外への移転に制限がある場合は特に重要です。

未対応事項の判断

中小の提供元では、第三者認証(ISMS・SOC 2)、SSO、IP アドレス制限、稼働率の保証(SLA)などが未対応のことがあります。

判断の観点内容
自社の規程で必須か必須なら導入できない。必須でなければ次の観点へ
取り扱うデータの範囲原文を扱わない、読み取り専用の認証情報だけ、なら影響は限定的
代替の対策多要素認証で SSO の代わりにする、など
開示の姿勢未対応を正直に開示しているか。時期や方針の説明があるか
見直しの時期半年後・1年後に対応状況を再確認する条件で承認する

「未対応がある=導入不可」ではなく、取り扱うデータの範囲と代替の対策で判断するのが現実的です。

審査を早く終えるための工夫

  • ツールの種類ごとに審査の型を作る: メタデータのみの可視化ツールは簡易審査、プロンプトを扱うツールは詳細審査
  • 公開資料を先に読む: 提供元の説明資料で答えが分かる項目は、質問しない
  • 利用部署に目的を先に書いてもらう: 目的が明確だと、必要な確認の範囲が絞れる
  • 条件付きで承認する: 対象部署やデータの範囲を限定して承認し、後から広げる

審査後の継続確認

頻度確認すること
年1回提供元の説明資料の更新、未対応事項の対応状況
変更時提供元の構成・委託先・データの所在地の変更の通知
随時インシデントの報告、利用範囲の拡大の申請

承認の記録に残すこと

審査の結果は、後から見直せる形で記録します。

記録する項目例
ツール名と用途生成AIの利用量の可視化
審査の型簡易審査(原文なし・経路外・読み取り専用)
利用の条件対象は会社契約の API のみ。閲覧は情シスと部門長
未対応事項と判断第三者認証は未取得。取り扱うデータの範囲が小さいため許容
見直しの時期1年後に対応状況を再確認

よくある質問

Q. 生成AIの提供元自体の審査はどうしますか? 大手の提供元は、規約・セキュリティの資料・第三者認証を公開しています。これらで確認し、会社の経路として使う条件(学習への利用の扱い、データの保持)を決めます。

Q. 審査にどのくらいの期間をかけるべきですか? リスクの大きさによります。メタデータのみの可視化ツールなら、公開資料と数項目の質問で、比較的短期間で判断できます。プロンプトを扱うツールは、データの流れの確認と法務の確認を含めて、より時間をかけます。

まとめ

  • 生成AI関連 SaaS の審査は、プロンプトを扱うか・通信経路に入るかでリスクを見積もり、深さを変える
  • 手順は、用途の確認 → 種類の判定 → 公開資料 → チェックシート → リスク評価 → 条件付き承認
  • 見るべきは、データの流れ・原文の扱い・認証情報の権限・停止時の影響・所在地と委託先
  • 未対応事項は、取り扱うデータの範囲と代替の対策、開示の姿勢で判断する

ManageAIは、プロバイダの管理APIから利用量のメタデータだけを読み取る可視化ツールです。プロンプト原文を構造上取得せず、通信経路に介在せず、預かる認証情報は読み取り専用です。データは AWS 東京リージョンで管理し、未対応事項も説明資料で開示しています。詳しくは「ManageAIのセキュリティ」を参照ください。モニター企業を募集中です。

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この記事を書いた人

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師田 賢人

Kento Morota

Harmonic Society株式会社 Founder|設計・開発

一橋大学卒業後、アクセンチュアで大手企業の業務改革・システム導入に従事。200社以上の経営者を取材した編集者を経て、AIを活用したWeb開発・DX支援を展開。ManageAIの設計・開発を担当。

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