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用途分類・利用実態把握完全ガイド約8分で読めます

生成AIの利用実態と用途を把握する 完全ガイド|「何のために使ったか」の可視化

生成AIの利用を「誰が・いくら」から一歩進めて、「何のために使ったか」まで把握するための完全ガイドです。用途を把握する目的、利用実態の3つの層、用途を把握する3つの方法、用途分類の作り方、費用・効果との結び付け方、プロンプトの内容を扱うときの注意点、段階的な進め方までをまとめました。

生成AIの利用実態は、「誰が・いくら使ったか」→「何のために使ったか」→「どんな効果が出たか」の3つの層で把握すると、判断に使える情報になります。1つ目の層は、プロバイダの利用量のデータを部署や利用者に対応付ければ分かります。難しいのは2つ目の層、用途です。利用量のデータには「何のために使ったか」は含まれないため、アンケート・APIキーの分け方・業務システムの記録を組み合わせて把握します。

用途が分かると、効果の大きい使い方の横展開、用途に合ったモデルの選び方、ガイドラインの見直しができるようになります。このガイドでは、用途を把握する目的と方法、用途分類の作り方、費用・効果との結び付け方、プロンプトの内容を扱うときの注意点を整理します。

1. なぜ「何のために使ったか」を知りたいのか

知りたい理由用途が分かるとできること
効果を示したいどの業務で時間が減っているかを示し、投資を判断する
使い方を広げたい効果の大きい使い方を、似た業務の部署に紹介する
費用を最適化したい用途に対して高性能すぎるモデルを使っていないかを確かめる
ルールを見直したい想定外の使い方に合わせて、入力してよい情報の基準を補う
教育を効率化したいよく使われる用途に絞って研修を用意する

「誰が・いくら」だけでは、費用が増えたときにそれが良い増え方(効果の大きい使い方が広がった)なのか、悪い増え方(無駄な使い方)なのかを判断できません。用途は、その判断の手がかりになります。

2. 利用実態の3つの層

層分かること主なデータ
1. 誰が・いくら部署・利用者・APIキーごとの利用量と費用プロバイダの利用量のデータ+組織マッピング
2. 何のために用途(業務・作業の種類)ごとの利用アンケート、用途ごとのキー、業務システムの記録
3. どんな効果用途・部署ごとの時間の削減、品質の向上実測、業務システムの記録、聞き取り

3つの層は、下の層ほど把握が難しく、上の層を前提にしています。まず「誰が・いくら」を見える化し、その上に用途と効果を重ねていきます。1つ目の層の作り方は「生成AIのコスト管理 完全ガイド」、3つ目の層は「生成AIのROI測定 完全ガイド」を参照してください。

3. 用途を把握する3つの方法

方法やり方長所限界
アンケート・聞き取り社員に、どの業務にどのくらい使っているかを聞くすぐ始められる。個人利用も含めて聞ける記憶に頼る。継続して取りにくい
キー・経路を用途ごとに分ける業務ツールごとに APIキーを分け、用途を対応付ける利用量のデータから用途別の費用が継続的に分かる汎用のチャットは用途を分けられない
業務システムの記録どの機能(ボタン)から呼び出されたかを記録する機能ごとの利用が正確に分かる自社で管理するシステムに限られる

経路ごとの向き・不向き

経路向いている方法
用途が決まった業務ツール(API)キーを用途ごとに分ける
自社開発の業務システム機能ごとの記録+キーの分け方
汎用のチャットアンケート・聞き取り
個人の利用・シャドーAIアンケート・聞き取り

用途が決まった利用はキーと機能で継続的に測り、汎用のチャットと全体の傾向はアンケートで補うのが現実的な組み合わせです。詳しくは「社員は生成AIを何に使っているのか|用途を把握する3つの方法」を参照してください。

4. 用途分類の作り方

2階層で作る

階層内容例
大分類作業の種類。全社で揃える(5〜8個)文章の作成/要約/翻訳/調べもの・質問/企画・アイデア出し/データの整理・分析/プログラム/その他
中分類業務。判断に使うものだけを定義する議事録、提案書、社内の問い合わせ回答、コードのレビュー

作るときのポイント

  • 目的を先に決める: 経営への報告なら大分類で足り、効果の測定や横展開には中分類が要る
  • 判断に使う単位だけを細かくする: 使わない細かい分類は手間を増やすだけ
  • 定義書を作る: 迷いやすい例の振り分け先を書いておく
  • 「その他」を監視する: 一定の割合を超えたらカテゴリを見直す
  • 分類を付ける単位を決める: キーの台帳・業務システムの機能・アンケートの選択肢に分類を持たせる

詳しくは「生成AIの用途分類の作り方|業務カテゴリの設計」を参照してください。

5. 用途を費用・効果と結び付ける

用途は、それだけを集計しても判断には使えません。費用と効果と並べて初めて意味を持ちます。

分析見ること判断
用途別の費用どの用途に費用が集まっているか大きな用途から最適化を検討する
用途別の効果どの用途で時間の削減が出ているか効果の大きい用途を横展開する
用途とモデル簡単な用途で高性能なモデルを使っていないかモデルの切り替えを試す
部署と用途同じ用途で部署ごとに差がないか効率のよい部署の使い方を共有する

費用と効果の2軸で見る

効果が大きい効果が小さい
費用が大きい用途主力。効率化(モデル・プロンプトの見直し)を進める見直し。使い方か用途を再検討する
費用が小さい用途横展開の候補。他部署に広げる様子見

費用が小さく効果が大きい用途は、横展開で最も成果が出やすい候補です。

6. プロンプトの内容を扱うときの注意

汎用のチャットの用途を正確に知ろうとすると、プロンプトの内容を見たくなります。しかし、次の点に注意が必要です。

注意点内容
機密情報プロンプトには機密情報や個人情報が含まれることがある
外部への送信内容を外部のツールに送って分析すると、情報が社外に出る
集まる場所が増える分析のために内容を保存すると、漏えいの経路が増える
従業員のプライバシー内容を見られていると感じると、利用が萎縮し、シャドーAIが増える
規程・契約との整合顧客との契約や社内規程に反しないかを確認する

内容を扱う場合は、目的・範囲・閲覧できる人・保存期間を決め、従業員に説明してから行います。多くの目的(費用の管理・予算・キーの管理)は、内容を見ずに利用量のメタデータで達成できることも押さえておきます。考え方は「メタデータと原文の違い|可視化に原文は要らない」と「利用監視ツールと従業員プライバシー」を参照してください。

7. 段階的な進め方

段階やること
1. 誰が・いくらを見える化する利用量のデータを部署・利用者・キーに対応付ける
2. 大まかな用途をつかむ全社アンケートで大分類ごとの利用の傾向を知る
3. 用途を継続的に測れる形にする業務ツールのキーを用途ごとに分け、台帳に用途を記録する。自社システムは機能ごとに記録する
4. 効果と並べる用途別の費用と、聞き取り・実測の効果を並べて報告する
5. 判断に使う横展開・モデルの見直し・ガイドラインの改善に使う
6. 見直す四半期ごとにアンケートを行い、分類と台帳を更新する

最初から完璧な用途の把握を目指さないことが大切です。大まかな傾向でも、費用と並べれば判断の材料になります。

8. 用途の把握でよくある失敗

失敗回避策
「誰が・いくら」を飛ばして用途から始めるまず利用量の見える化を作る。用途はその上に重ねる
分類を細かく作りすぎる判断に使う単位だけを細かくする
内容の監視から始めるリスクとプライバシーの問題が大きい。キーの分け方とアンケートから始める
用途だけを集計して終わる費用・効果と並べて判断に使う
1回のアンケートで終わる定期的に行い、傾向の変化を見る

9. 用途を把握するためのキーの設計

用途を継続的に測るうえで最も効果的なのは、業務ツールごとに APIキー(またはプロジェクト・デプロイメント)を分け、キーの台帳に用途を記録することです。

設計内容
業務ツールごとにキーを分ける議事録ツール、問い合わせボット、資料作成ツールなど
環境を分ける本番と検証のキーを分ける
台帳に用途の分類を持たせる大分類・中分類を記録する
汎用のチャットは別のキーにする用途が混ざる経路を明確にしておく

この設計にしておけば、利用量のデータを用途別に集計でき、プロンプトの内容に触れずに用途別の費用の推移を追えます。キーの設計の考え方は「APIキー管理の基本」も参照してください。

10. 部署別の利用の偏りを見る

用途を把握する前に、「誰が・いくら」の層だけでも、利用実態について多くのことが分かります。

見るもの分かること次にやること
部署別の利用量使っている部署と使っていない部署使っていない部署に理由を聞く(業務に合わない・知らない・個人で使っている)
利用者別の利用量一部の人に利用が集中していないか集中している人の使い方を聞き、共有する
時間帯・曜日の傾向業務時間の利用か、夜間の自動処理か夜間の処理の用途と費用を確認する
利用の推移定着しているか、一時的だったか減っている部署の理由を聞く

使っていない部署は、会社の経路が業務に合っていないか、個人のアカウントで使っている(シャドーAI)可能性があります。責めるのではなく、用途を聞き取るきっかけにします。

11. 横展開の進め方

用途が分かると、効果の大きい使い方を他の部署に広げられます。

手順やること
1. 候補を選ぶ費用が小さく効果が大きい用途を、用途別の費用と効果から選ぶ
2. 使い方を聞くその用途で成果を出している部署に、具体的な使い方(指示の書き方・手順)を聞く
3. 似た業務の部署を探す同じ大分類・中分類の業務を持つ部署を選ぶ
4. 紹介する成果を出している部署の担当者から、実際の使い方を見せてもらう
5. 効果を測る展開先でも同じ指標で測り、効果を確認する

用途分類の大分類を全社で揃えておくと、「同じ業務を持つ部署」を見つけやすくなります。横展開と投資配分の考え方は「部署別ROIで投資配分を決める」も参照してください。

12. 用語の整理

用語意味
利用実態誰が・何のために・どれだけ生成AIを使い、どんな効果が出ているか
用途生成AIを使った目的(業務・作業の種類)
用途分類用途を整理するためのカテゴリの体系(大分類・中分類)
横展開効果の大きい使い方を、似た業務の部署に広げること
組織マッピングAPIキーなどプロバイダの単位を、部署・利用者に対応付けること
メタデータトークン数・モデル・時刻・キーなど、利用の量と属性を表すデータ

13. よくある質問

Q. 用途の把握は、どのくらいの精度が必要ですか? 目的によります。経営への報告なら大分類の割合が分かれば足り、効果の測定や横展開には、対象の業務単位で測れることが必要です。

Q. 汎用のチャットの用途は、どうしても分かりませんか? アンケートや聞き取りで大まかな傾向をつかむのが一般的です。用途がはっきりしてきた使い方は、専用の業務ツールに切り出してキーを分けると、継続的に測れるようになります。

Q. 用途を把握することは、従業員の監視になりませんか? キーの分け方やアンケートで用途を把握する方法は、プロンプトの内容を見ないため、監視の性格は弱くなります。目的と見るものを説明し、個人の評価に使わないことを明示します。

Q. 用途の把握は誰が担当すべきですか? 全社のアンケートとキーの台帳の管理は、情シスや DX 推進が取りまとめます。業務の単位での用途の定義と効果の聞き取りは、部署の窓口に協力してもらいます。

まとめ

  • 利用実態は「誰が・いくら」→「何のために」→「どんな効果」の3層で把握する。用途は2つ目の層
  • 用途は、アンケート・聞き取り、キーや経路を用途ごとに分ける設計、業務システムの記録の3つで把握する
  • 用途分類は大分類(全社共通)と中分類(判断に使う業務)の2階層で作り、定義書と見直しで保つ
  • 用途は費用・効果と並べて初めて判断に使える。費用が小さく効果が大きい用途が横展開の候補
  • プロンプトの内容を扱う場合は、機密情報・外部への送信・プライバシー・規程に注意する

ManageAIは、OpenAI・Azure OpenAI・Claude・AWS Bedrock・Google Vertex AIの利用量と費用を、部署・利用者・プロジェクト・APIキー別に可視化します。キーを用途ごとに分けていれば、用途別の費用の推移も確認できます。また、プロンプト原文を貴社環境の外に一切出さずに、用途別の利用状況を統計として可視化する機能を提供予定です(特許出願中)。

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この記事を書いた人

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師田 賢人

Kento Morota

Harmonic Society株式会社 Founder|設計・開発

一橋大学卒業後、アクセンチュアで大手企業の業務改革・システム導入に従事。200社以上の経営者を取材した編集者を経て、AIを活用したWeb開発・DX支援を展開。ManageAIの設計・開発を担当。

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