ManageAI™
セキュリティ・データ保護約5分で読めます

プロンプトが外部に保存されるリスク|ツール選定の確認点

生成AIのプロンプト(入力文)と応答が外部に保存されるリスクを解説します。提供元・ゲートウェイ・監視ツール・ログ基盤など、プロンプトが保存されうる場所、保存されると何が問題になるか、ツール選定時に確認すべき8つの点、原文を取得しない設計のツールを選ぶ意味までをまとめました。

生成AIのプロンプト(入力文)と応答は、生成AIの提供元だけでなく、前段のゲートウェイ、監視・可視化のツール、ログの基盤など、周辺のツールにも保存されることがあります。社員が機密情報をプロンプトに入れていれば、その内容が保存された場所の数だけ、漏えいの経路が増えます。

周辺ツールを選ぶときは、機能より先に「プロンプトの原文を取得・保存するか」を確認します。この記事では、プロンプトが保存されうる場所、保存されると何が問題か、ツール選定時の確認点を説明します。全体像は「生成AI導入のセキュリティ 完全ガイド」を参照してください。

プロンプトが保存されうる場所

場所保存の例目的
生成AIの提供元不正利用の監視のための一定期間の保持、会話履歴の機能不正利用の監視、利用者の利便性
ゲートウェイ・プロキシ通過したリクエストとレスポンスの記録監査、キャッシュ、分析
監視・可視化のツールプロンプトの内容の収集用途の分析、違反の検知
アプリケーションのログエラー時のリクエストの記録、デバッグ用のログ障害調査
クラウドの呼び出しログモデル呼び出しの記録(有効にした場合)監査、呼び出し元の特定
評価・改善のツールプロンプトと応答の組の記録品質の評価、プロンプトの改善

多くの企業で見落とされるのは、アプリケーションのログと周辺ツールです。提供元の規約だけを確認しても、自社のログや導入したツールにプロンプトが残っていれば、同じリスクがあります。

保存されると何が問題か

問題内容
漏えいの経路が増える保存された場所が攻撃されたり、誤って公開されたりすると、プロンプトの内容が漏れる
アクセスできる人が増えるツールの管理者や提供元の担当者が、社員の入力内容を見られる状態になる
規程・契約との矛盾顧客との契約や社内規程で、第三者への提供や国外への移転が制限されている情報が含まれる
削除の難しさ複数の場所に分散して保存されると、削除の依頼や確認が難しくなる
従業員の心理的な負担入力内容が監視されていると感じると、利用が萎縮したり、シャドーAIに流れたりする

特に顧客情報や個人情報を扱う業務では、プロンプトが第三者のツールに保存されることが、顧客との契約や個人情報の取り扱いの規程に抵触する可能性があります。

ツール選定時の確認点

周辺ツール(ゲートウェイ・監視・可視化・分析)を選ぶときは、次の8点を確認します。

#確認点確認の仕方
1プロンプト・応答の原文を取得するか仕様書・データフローの図・セキュリティの説明資料
2取得する場合、保存するか。保存期間はデータの保持の規程
3保存の場所(国・リージョン)データの所在地の説明
4誰がアクセスできるか提供元の担当者のアクセス権、自社の管理者の権限
5原文を取得しない設定があるか。それは既定か設定の画面・説明資料
6通信経路に入るか(リクエストが通過するか)構成の説明
7認証情報を預ける場合、その権限の範囲読み取り専用か、モデルを呼び出せる権限か
8解約時のデータの削除削除の範囲と時期、バックアップの扱い

「取得しない」は設定か、構造か

確認点1と5で重要なのは、原文を取得しないのが「設定」なのか「構造」なのかです。

設定で取得しない構造上取得しない
意味原文を取得する機能はあるが、設定で止めている原文を取得する仕組みそのものがない
リスク設定の変更や不具合で取得が始まる可能性取得のしようがない
確認の仕方設定の画面と、その変更権限データの取得元(何の API を読んでいるか)と、保存の設計

通信経路に入るツール(ゲートウェイ・プロキシ)は、構造上、リクエストの原文が通過します。保存しない設定であっても、通過する時点で原文を扱っていることになります。

原文を取得しない設計を選ぶ

利用状況の可視化や費用の管理が目的なら、プロンプトの原文は必要ありません。プロバイダの管理APIが返す利用量のメタデータ(トークン数・モデル・時刻・キーの識別子)で、誰が・どれだけ使っているかは把握できます。

目的原文が必要か
部署別の利用量・費用の把握不要(メタデータで足りる)
予算の管理・急増の検知不要
APIキーの棚卸し不要
入力内容のルール違反の検知必要(ただしプライバシーとリスクの検討が要る)
回答の品質の評価必要な場合がある(対象と期間を限定する)

目的に原文が必要ないなら、原文を取得しないツールを選ぶのが、最もリスクの小さい選択です。メタデータと原文の違いは「生成AI導入のセキュリティ 完全ガイド」でも整理しています。

自社のログも見直す

周辺ツールだけでなく、自社のアプリケーションも見直します。

  • エラー時にリクエストの全文をログに出していないか
  • デバッグ用のログが本番環境で有効になっていないか
  • クラウドのモデル呼び出しログを有効にしている場合、保存先のアクセス権と保持期間は適切か
  • ログの閲覧権限が、必要な人に限られているか

提供元への確認の依頼文の例

周辺ツールの提供元に、プロンプトの扱いを確認するときの依頼文の例です。

貴社サービスの導入検討にあたり、次の点をご教示ください。①当社の社員が生成AIに入力するプロンプトと、生成AIの応答の原文を、貴社サービスが取得・保存することはありますか。②取得しない場合、それは設定によるものですか、サービスの構造によるものですか。③取得・保存する場合、その場所(国・リージョン)、保存期間、閲覧できる貴社の担当者の範囲、削除の方法をお知らせください。④貴社サービスは、当社のアプリケーションと生成AIの提供元の間の通信経路に入りますか。

質問を具体的にすると、回答も具体的になります。あいまいな回答が返ってきた場合は、データの流れの図の提供を求めます。

よくある質問

Q. 生成AIの提供元にプロンプトが保存されるのは避けられませんか? 提供元の規約によります。不正利用の監視のための一定期間の保持が定められている場合や、条件を満たすと保持しない扱いにできる場合があります。会社の経路を選ぶときに、規約と設定を確認します。

Q. 監視のためにプロンプトを保存するツールは使うべきではありませんか? 目的によります。入力内容のルール違反を検知したい場合は原文が必要ですが、保存の範囲・期間・アクセス権を限定し、従業員への説明を行う必要があります。利用状況の把握が目的なら、原文を取得しないツールで足ります。

Q. ツールの提供元に「保存しません」と言われれば十分ですか? 口頭の説明だけでなく、仕様書・データフロー・セキュリティの説明資料で確認し、可能であれば「構造上取得しない」のか「設定で止めている」のかを確かめます。

まとめ

  • プロンプトは、提供元だけでなく、ゲートウェイ・監視ツール・アプリケーションのログなどにも保存されうる
  • 保存されると、漏えいの経路とアクセスできる人が増え、規程や契約と矛盾するおそれがある
  • ツール選定では、原文の取得・保存・場所・アクセス権・経路への介在・認証情報の権限・削除を確認する
  • 利用状況の把握が目的なら原文は不要。原文を構造上取得しないツールを選ぶのが最もリスクが小さい

ManageAIは、プロバイダの管理API(利用統計API)だけを読み取り、プロンプトと生成結果の原文は取得も保存も送信もしません。これは運用上の約束ではなく、原文を扱う仕組みがサービス内に存在しないという構造上の制約です。通信経路にも介在しません。モニター企業を募集中です。

関連記事

次に読む

この記事を書いた人

師田 賢人の写真

師田 賢人

Kento Morota

Harmonic Society株式会社 Founder|設計・開発

一橋大学卒業後、アクセンチュアで大手企業の業務改革・システム導入に従事。200社以上の経営者を取材した編集者を経て、AIを活用したWeb開発・DX支援を展開。ManageAIの設計・開発を担当。

モニター企業募集

初期費用0円・月額5万円(税別)

先着5社・2026年11月末まで

5プロバイダの利用量と費用を部署・利用者・APIキー別に可視化。読み取り専用キーの登録だけで当日から始められます。

募集要項を見る資料請求・お問い合わせ

Blog一覧へ戻る