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利用状況の取得方法・管理API完全ガイド約13分で読めます

生成AI APIの利用状況・費用データを取得する方法 完全ガイド|5プロバイダの管理API

OpenAI・Azure OpenAI・Claude(Anthropic)・AWS Bedrock・Google Vertex AIの5プロバイダについて、生成AI APIの利用状況(トークン数・リクエスト数)と費用(実費)を取得する方法を体系的に解説する完全ガイドです。管理画面と管理APIの違い、プロバイダ別の取得方法、粒度の違い、一元管理の設計、手作業の限界、セキュリティの注意点までをまとめました。

生成AI APIの利用状況と費用は、各プロバイダの管理画面で確認でき、定期的に集計したい場合は管理API(利用量のAPI・メトリクス・課金のAPI)で取得します。ただし、取得の方法も、見える粒度も、プロバイダごとにまったく違います。OpenAI と Claude は専用の Usage API で APIキー単位の利用量が取れますが、Azure OpenAI・AWS Bedrock・Google Vertex AI はクラウドの監視サービスのメトリクスで、デプロイメントやモデルの単位までしか見えません。

このガイドでは、5プロバイダの利用状況と費用データを取得する方法を、管理画面と管理APIの違い、プロバイダ別の取得方法、粒度の違い、一元管理の設計の順に整理します。各テーマの詳しい記事へのリンクも載せています。

API やメトリクスの名前は、執筆時点(2026年9月)の各社の公式ドキュメントに基づきます。仕様は変更されることがあるため、実装の前に各社の最新のリファレンスを確認してください。

1. なぜ利用状況のデータを取得するのか

請求書には、プロバイダごとの合計額しか載りません。「どの部署が・どのシステムが・どれだけ使ったか」を知るには、利用状況のデータを別に取得する必要があります。

目的必要なデータ
部署別・利用者別の費用を出すキー(または相当する単位)ごとの利用量
予算の消化状況を月の途中で知る日次・時間ごとの利用量と費用
急な利用の増加や漏えいに気づく時間ごとの利用量
請求と突合する実費
ROI を測る部署・業務の単位の費用

管理画面で都度確認するだけなら、データの取得は不要です。しかし、部署別への組み替え、複数プロバイダの合算、長期の履歴、自動の通知が必要になると、管理APIで取得して自社のデータとして持つ必要が出てきます。

2. 管理画面と管理APIの違い

管理画面管理API
手軽さすぐに見られる取得の仕組みが必要
社内の単位への組み替えできない(手作業で転記)できる
複数プロバイダの合算できないできる
履歴の保存各社の保持期間まで自社で保存すれば長期に持てる
通知・自動化各社の予算機能の範囲自由に設計できる

どのプロバイダでも、「利用量」と「費用(実費)」は別の API で取得します。利用量は細かい粒度で比較的すぐに反映され、実費は粗い粒度で遅れて確定します。この2つを区別することが、データ取得の設計の出発点です。

3. プロバイダ別の取得方法

全体の比較

OpenAIAzure OpenAIClaudeAWS BedrockGoogle Vertex AI
利用量の取得元Usage APIAzure Monitor のメトリクスUsage APICloudWatch のメトリクスCloud Monitoring のメトリクス
実費の取得元Costs APICost ManagementCost APICost ExplorerBigQuery の請求エクスポート
認証Admin API キーサービスプリンシパルAdmin API キーIAMサービスアカウント
利用量の粒度APIキー × モデルデプロイメント × モデルAPIキー × モデルモデル(リージョンごと)モデル(ロケーションごと)

取得できる項目や反映の遅れまで含めた一覧は「主要5プロバイダの管理API一覧|取得できる項目比較」にまとめています。

OpenAI

組織の Admin API キーで Usage API を呼び出し、APIキー × モデル × 1時間の粒度で、入力・キャッシュ入力・出力のトークン数とリクエスト数を取得します。実費は Costs API で、プロジェクト × 日の粒度です。利用の種類(テキスト生成・埋め込み・画像など)ごとにエンドポイントが分かれている点に注意します。手順とリクエスト例は「OpenAI APIの使用量を確認・取得する方法|Usage画面とUsage API」で説明しています。

Claude(Anthropic)

組織アカウントの Admin API キーで Usage API を呼び出し、APIキー × モデル × 1時間の粒度で、キャッシュの読み取り・作成を分けたトークン数を取得します。リクエスト数は取得できません。実費は Cost API で、ワークスペース × 日の粒度、UTC の日が確定した後(約1日遅れ)に取得できます。詳しくは「Claude APIの使用量を確認・取得する方法|ConsoleとUsage API」を参照してください。

Azure OpenAI

Azure OpenAI リソースのメトリクス(Azure Monitor)で、デプロイメント × モデル × 時間のトークン数とリクエスト数を取得します。取得用のサービスプリンシパルには、閲覧者と Cost Management 閲覧者の権限を付けます。利用者個人の内訳と、キャッシュ入力の数は取得できません。実費は Cost Management で、リソース × 日・請求通貨(円建ての場合もある)です。詳しくは「Azure OpenAIの使用量を確認する方法|Azure Monitorのメトリクス」を参照してください。

AWS Bedrock

CloudWatch の AWS/Bedrock のメトリクスで、モデル ID × リージョン × 時間の入力・出力トークン数と呼び出し回数を取得します。メトリクスはリージョンごとに記録されるため、使っているリージョンごとに取得します。実費は Cost Explorer で、他社のモデルが Marketplace のサービス名で計上される点に注意します。詳しくは「AWS Bedrockの使用量を確認する方法|CloudWatchメトリクス」を参照してください。

Google Vertex AI

Cloud Monitoring の Vertex AI(パブリッシャーモデル)のメトリクスで、モデル × ロケーション × 時間のトークン数と呼び出し回数を取得します。出力トークンには思考のトークンが含まれます。実費は BigQuery の請求エクスポートで取得し、エクスポートを有効にした日以降のデータしか出ないため、早めに有効にしておきます。詳しくは「Vertex AIの使用量を確認する方法|Cloud Monitoringのメトリクス」を参照してください。

4. 粒度の違いと「疑似キー」

プロバイダ利用量の粒度利用者個人の内訳
OpenAI・ClaudeAPIキー × モデル × 1時間キーを利用者に割り当てれば可
Azure OpenAIデプロイメント × モデル × 1時間不可
AWS Bedrock・Google Vertex AIモデル(リージョン・ロケーションごと)× 1時間不可

粒度の違いは、各社の認証の仕組みから来ています。OpenAI と Claude は APIキーごとに利用が記録されますが、Azure はリソースのキー、Bedrock と Vertex AI はクラウドの権限で利用するため、利用者ごとの記録がありません。

5社を同じ表で扱うには、各社で最も細かく取れる単位を「キー」として扱うのが実用的です。Azure は「リソース + デプロイメント」、Bedrock は「アカウント + リージョン + モデル」、Vertex AI は「プロジェクト + ロケーション + モデル」を疑似キーとすれば、すべての利用量を「キー × モデル × 時間」の形に揃えられます。

ただし、疑似キーで揃えても、利用者個人の内訳が見えない限界は残ります。部署別に見たい場合は、Azure はデプロイメント・リソースを、Bedrock と Vertex AI はアカウント・プロジェクトを部署ごとに分けておくことが前提です。詳しくは「生成AI利用状況の粒度はプロバイダで違う|キー・デプロイ・モデル」で説明しています。

5. 利用量と実費——概算と実費を区別する

利用量から計算した概算実費
粒度キー・デプロイメント・モデル × 時間プロジェクト・リソース・アカウント × 日
計算トークン数 × 自社で持つ単価表各社の請求系のデータ
反映利用後、比較的すぐ数時間〜2日程度の遅れ
用途部署別・利用者別の内訳、急増の検知請求との突合、月次の締め

APIキー・利用者単位の実費は、どのプロバイダにも存在しません。部署別・利用者別の費用は、利用量に単価を掛けた概算になります。報告では「合計は実費、内訳は概算」と明記し、月次で概算の合計と実費の差を確認します。

概算を出すには、プロバイダ・モデル・トークンの種類ごとの単価表を自社で持ち、改定に追随する必要があります。キャッシュの読み取り・作成の単価が違うプロバイダでは、内訳ごとに単価を掛けます。

6. 一元管理の設計

複数のプロバイダのデータを1か所で管理するには、次の流れで仕組みを作ります。

段階設計のポイント
取得利用量は1時間以内の間隔、実費は1日数回。各社の API の利用上限と料金を考慮する
正規化「プロバイダ・キー(疑似キー)・モデル・時間・トークンの種類」の共通形式に揃える。取れない項目は0ではなく「値なし」
保存時間のバケットは UTC の時刻境界に固定。「プロバイダ × キー × モデル × 時間」で上書きし、二重計上を防ぐ
補正直近分を毎回取り直し、1日1回は直近の数日分を取り直して確定させる
計算適用開始日つきの単価表で概算を出し、為替のレートを記録して円換算する
対応付けキー・疑似キーを部署・利用者・プロジェクトに対応付ける。新しいキーは自動で「未割当」に入れる
突合月次で概算の合計と実費を比べる

特に時間の境界の固定と上書きによる重複防止は、後から直すのが難しい部分です。最初の設計で決めておきます。詳しくは「5プロバイダの使用量を一元管理する方法|管理API横断」を参照してください。

7. 手作業の限界

最初は、各社の管理画面から CSV を出し、表計算で部署に割り振る手作業でも始められます。しかし、次の段階で限界が来ます。

段階起きること
プロバイダが3社以上管理画面ごとに出し方と単位が違い、毎月の作業が数時間になる
キーが数十本以上部署への割り振りと、新しいキーの発見が追いつかない
月の途中で状況を知りたい手作業では月末にしか集計できない
急増に気づきたい時間単位の監視は手作業ではできない
担当者が変わる手順が属人化し、同じ数字が出なくなる

手作業は「月末の集計」には使えても、「月の途中で気づく」ことはできません。予算の統制や漏えいの検知まで考えるなら、定期取得の仕組みが必要になります。

8. セキュリティの注意点

管理用の認証情報

管理APIの認証情報は、組織全体の利用状況を読める強い鍵です。

対策内容
権限を絞る読み取りの権限だけを付ける。モデルを呼び出す権限は不要
保管シークレット管理サービスで暗号化して保管する
台帳持ち主・用途・発行日を記録し、棚卸しの対象にする
失効各社の管理画面でいつでも失効できる。手順を決めておく

プロンプトの内容は取得しない

管理APIが返すのは、トークン数・モデル・時刻などの利用量のメタデータで、プロンプトや応答の内容は含まれません。利用状況と費用の把握は、内容に触れずに実現できます。これはセキュリティ審査で説明しやすい特徴です。

一方、呼び出し元ごとの内訳を得るためにモデル呼び出しログなどを有効にすると、プロンプトや応答の内容も記録されることがあります。有効にする場合は、保存先のアクセス権と保持期間を慎重に決め、社内の情報管理のルールに合うかを確認します。

通信経路に入らない

管理APIでの取得は、アプリケーションとプロバイダの間の通信には入りません。取得の仕組みが止まっても、生成AIの利用自体は止まりません。前段にゲートウェイを置く方式と比べて、可用性とセキュリティ審査の面で導入しやすいのが特徴です。

9. 内製するか、ツールを使うか

観点内製ツール
初期の手間各社分の取得・正規化・保存・画面を作る認証情報の登録と組織マッピング
継続の手間API の仕様変更への追随、単価表の更新、障害対応ツール側が追随する
柔軟性自社の要件に合わせられるツールの機能の範囲
費用開発と運用の人件費利用料
セキュリティ審査自社内で完結預ける認証情報とデータの扱いを確認する

プロバイダが1〜2社で開発の余力があれば、内製も現実的です。プロバイダが3社以上、または専任の担当者がいない場合は、仕様変更と単価表の保守が続くことを見込んで判断します。ツールを選ぶときは、通信経路に入らないか、プロンプトの内容を取得しないか、預ける認証情報が読み取り専用で済むかを確認します。

10. 始め方——3つのステップ

ステップやること
1. 棚卸し会社として契約している経路(プロバイダ・組織・サブスクリプション・アカウント・プロジェクト)をすべて挙げる
2. 1社から取得費用の最も大きいプロバイダから、読み取り専用の認証情報を発行し、利用量と実費を取得する
3. 広げる共通のデータ形式に揃えながら、プロバイダを1社ずつ足し、組織マッピングを作る

最初の1社では、共通のデータ形式と、時間・重複の扱いを決めることに時間を使います。ここを決めておけば、プロバイダを足しても同じ表で集計できます。

11. 取得したデータの使い道

利用状況と費用のデータを取得できるようになると、次の管理ができるようになります。

使い道使うデータ内容
部署別の費用の把握キー・疑似キーごとの利用量 × 単価、組織マッピング部署・利用者・プロジェクト別に費用を出し、月次で報告する
予算の統制日次の費用、月の累計月の途中で消化率を把握し、節目で通知する
急増・漏えいの検知キーごとの時間単位の利用量過去の同じ時間帯と比べて急に増えたら通知する
配賦・チャージバック部署別の概算と全社の実費部署に費用を割り当て、合計を請求と突合する
キーの棚卸しキーの一覧と利用の有無使われていないキー、持ち主不明のキーを見つける
ROI の測定部署・業務の単位の費用効果と同じ単位で費用を揃える

データを取得すること自体が目的ではなく、これらの管理を回すための土台です。どの使い道を優先するかで、必要な粒度と取得の間隔が決まります。急増の検知を重視するなら1時間以内の間隔で、月次の報告が中心なら1日1回でも足ります。

12. 用語の整理

用語意味
管理API利用量や費用などの管理用の情報を返す API。モデルを呼び出す API とは別
Usage API利用量(トークン数など)を返す API。OpenAI と Claude が提供
メトリクスクラウドの監視サービスが記録する数値。Azure・AWS・Google Cloud では利用量をメトリクスで取得する
実費各社の請求系のデータに基づく金額。請求書と一致する
概算トークン数 × 単価で計算した金額。部署別・利用者別の内訳に使う
疑似キーAPIキーを持たない経路で、キーの代わりに使う単位(デプロイメント、リージョン/モデルなど)
時間バケット利用量を集計する時間の区切り(1時間など)。UTC の時刻境界で揃える
組織マッピングキー・疑似キーを部署・利用者・プロジェクトに対応付けること
未割当どの部署にも対応付けられていない利用・費用

13. よくある質問

Q. 管理画面の数字と、APIで取得した数字が合いません。 タイムゾーン(UTC と日本時間)、集計の対象(エンドポイントやリソースの範囲)、直近分の反映待ちを確認します。同じ UTC の期間・同じ対象で比べると一致させやすくなります。

Q. サブスクリプション(ChatGPT や Claude の法人プラン)の利用も取得できますか? API キーを経由しないサブスクリプションの利用は、各社の管理APIの利用量には含まれません。席数と契約で別に管理します。

Q. 過去のデータはどこまで取得できますか? プロバイダや API によって、取得できる期間に上限があります。導入時に取得できる範囲で過去分をさかのぼって取り込み、以後は定期取得して自社で保存します。

Q. 取得の仕組みを作るのに、どのくらいかかりますか? 1社分の取得と保存だけなら比較的短期間で作れますが、複数のプロバイダの正規化、遅れの補正、単価表の保守、組織マッピング、画面と通知まで含めると、継続的な開発と運用が必要になります。

Q. 管理APIの呼び出しに料金はかかりますか? API によって異なります。AWS の Cost Explorer の API のように呼び出しごとに少額の料金がかかるものや、Google Cloud の BigQuery のようにクエリの量に応じて料金がかかるものがあります。各社の料金と利用の上限を確認したうえで、取得の間隔と範囲を決めます。

Q. 取得した利用量のデータに個人情報は含まれますか? APIキーの ID やキー名、プロバイダに登録された持ち主のメールアドレスなどのメタデータが含まれることがあります。プロンプトや応答の内容は含まれませんが、保存するデータの範囲と閲覧できる人は、社内のルールに沿って決めます。

まとめ

  • 利用状況と費用は、各社の管理画面で確認し、定期的な集計は管理API(利用量・メトリクス・課金)で取得する
  • OpenAI と Claude は Usage API で APIキー単位、Azure はメトリクスでデプロイメント単位、Bedrock と Vertex AI はメトリクスでモデル単位まで
  • 実費はどの社もプロジェクト・リソース・アカウント単位まで。部署別・利用者別の費用は概算で、合計は実費で突合する
  • 一元管理は、疑似キーで粒度を揃え、UTC の時間境界と上書きで重複を防ぎ、直近分の再取得で遅れを補正する
  • 認証情報は読み取り専用で厳重に保管する。管理APIはプロンプトの内容を返さず、通信経路にも入らない

ManageAIは、OpenAI・Azure OpenAI・Claude・AWS Bedrock・Google Vertex AIの5プロバイダの管理APIを横断して、利用量を15分ごと、実費を1時間ごとに自動で取得し、APIキー・デプロイメント・モデルという粒度の違いを疑似キーで揃えて1つの画面に並べます。部署・利用者・プロジェクト別に可視化し、実費と概算を常に区別して表示します。読み取り専用の認証情報の登録だけで始められ、プロンプト原文は構造上取得しません。

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この記事を書いた人

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師田 賢人

Kento Morota

Harmonic Society株式会社 Founder|設計・開発

一橋大学卒業後、アクセンチュアで大手企業の業務改革・システム導入に従事。200社以上の経営者を取材した編集者を経て、AIを活用したWeb開発・DX支援を展開。ManageAIの設計・開発を担当。

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